去る、8月5日。
洞爺湖町にある「佐々木ファーム」へ行ってきました。
佐々木ファームHP
大地とあそぼう。2016に参加するためでした。
わたしが佐々木ファームを知るきっかけとなったのが、1本の映画でした。
そのタイトルが「大地の花咲き」。
提供:NPO法人ハートオブミラクル
個人事業主として表立って活動する前、昨年の秋頃にこの映画の自主上映会を
自宅で行っていました。加えて、この佐々木ファームで栽培している野菜は
すべて「無農薬」。
映画で見た野菜がどんなものかを「食べて」知ってもらうためにも、上映会に
合わせて野菜を取り寄せ、映画の上映後、または上映中に召し上がっていただく
という方式を取りました。
味はとても野菜の「力」が強く、えぐみのような、ある種濃い味を感じることも。
しかしその味ですら心地よく、かえってこれが「本来の野菜」なのだと知ることに
なりました。
主催者として、この映画を何度も観ました。
映像チェックを含め、本当に何度も観ました。
その映画の舞台となった土地へ、思いがけず訪れることになったのです。
誘っていただいたのは前述した「ハートオブミラクル」。
映画の上映にあたり、個人会員に登録をしていた関係でお誘いの声がかかって
いたのです。このお誘いをいただいたときにはどうしたものかと迷いましたが、
一度直にあの畑を見る必要があると感じ、お誘いを受けることにしたのです。
札幌から、車でおよそ2時間。
洞爺湖町に、佐々木ファームはありました。
イベント当日はファーム向かいの観光施設の奥の駐車場を借り、そこに車を停めて
イベント会場へ。手作り感たっぷりのお祭りの風景が見えてきました。
受付を済ませ、配布されたMAPを見てみると
・カフェ
・マルシェ
・ランチブース
・ライブステージ
・サファリ
・各種受付
と、細かく設定がされていました。
ステージ
マルシェでは協力してくださった店舗さんの物販が。
その中には札幌で有名なAGT(あじと)さんやSACHIさん、ニセコのラララファーム
など、全部で9店舗が並び、魅力的な商品を紹介。
マルシェ
ランチブースでは実際に佐々木ファームの野菜を使用している
イタリア料理「orizonte」のジオピザ、そして奥芝商店のジオカレーを提供。
サファリでは軽トラックで畑の中を案内するツアーと、収穫体験と付きのツアーなど、食べてよし、体験してよし、楽しんでよしの環境を提供してくれていました。
ライブステージでは会の進行アナウンスを始め、オープニングアクトや演奏、
トークライブなど時間帯に分けて目玉を用意。とても考えられている構成だなと
感じました。
カフェでは佐々木ファーム内で採れた果物やハーブを使用した各種飲み物が
用意されており、炎天下の体に染みわたるほどの美味しさを感じました。
ぶらぶらと会場を見て回り、お店の人と話したり、社長とも話したり。
ファームのスタッフさんとも話したり、会場のお客さんとも話したり。
こういったイベント会場では進行がうまくいかない場合もあり、裏方では
けっこうシビアな指示などが飛んでいるのがふつうなのですが、そういった光景は
一切なく、皆笑顔で、しかもてきぱきと、途中暑さにやられながら、それぞれの
役割をこなしていた印象を受けました。
特に驚いたのが「畑」。
映像で見てはいたものの、実際に見てみるとやはりというか、ただただ驚きです。
まず、佐々木ファームでの野菜の栽培には、農薬はもちろん、有機肥料も使用して
いません。普段多くの人たちが「雑草」と呼んでいる草も、抜きません
(おそらく病気等、抜かなければならいものはあると思うが)。
ざっくり話をすると、最初にこれでもかというくらいに手をかけるそう。
苗が大地に定着し、自分で育つことができるようになるまでの間、過保護という
くらいに面倒みるそう。しかし安定したあとは、その後の成長はそれぞれの
「野菜任せ」になるそうです。
そして、大きな特徴を持っているのは、栽培中の野菜(大地を含めて)に向けて
「ありがとう」
「元気かい」
といった、感謝や気遣いの言葉を毎日投げかけるというのだ。
この様子は、映画の中でも紹介されていました。
話によると、これが「要」のひとつなんだそう。
素人目では大きな違いはわからなかったのですが、目を見張ったのは
「整然と草が生えている」
ということでした。
かんたんに言えば、無秩序に草は生えていない、畑の秩序が保たれているという
ことでした。
その様子を軽トラックで畑を回るツアーに参加した際、お隣さんの畑とを見比べて
誰もがわかるほどでした。
わたしたちが見る普通の畑は、雑草は生えておらず、土がしっかりと見え、作物の
緑だけがそこに映えているという光景かと思います。佐々木ファームの畑は、
収穫用の野菜の周りにびっしりと草が生えているものの、その成長を妨げることは
せず、土もしっかりと見えており、こちらも管理されているという印象を受けました。
この違いを説明していくことはちょっと困難ですが、前述の畑は主に「人間」が
管理しているのに対し、佐々木ファームの畑に関しては「大地」が管理している
ように見えたということでしょうか。人間が何かを「コントロール」するのでは
なく、大地が元々持っていた「秩序の保ち方」でそれぞれの野菜を育てていく。
それで見事に収穫が出来るのですから、やはり驚きです。
コレ「じゃがいもの種」!!!
その後収穫体験を含めた畑ツアーに参加。スタッフの説明を聞きつつ、土に触って
見たり、実際に収穫したりと、新鮮な時間を過ごしました。どんなことにも言え
ますが、間接的に見た、聞いたことを元に話をしたり判断したりすることと、実際に
触れた状態で動くこととでは大きな違いがあります。それは以前にも触れましたが、
大事なことをメールで済ませようとしたり、多忙を理由に電話で済ませようとしたり、
何かと「自分が楽な方法」で事を済ませることにも似ている気がします。○○が苦手
だからとか、独自のルールで自分からは動かないなど、些細なことで決めつけて
しまう傾向が強いと感じています。便利な世の中になった反面、幼稚になってきた
部分も多く、口で言っていることと実際にやっていることの違いが大きすぎると
感じることも。「他人にわかってたまるか」という声が聞こえてきそうですが、
逆に「じゃあ自分自身でそこは偽りなくわかっているんですね」と聞き返したい。
それだけ多くの人は、他人に対する言葉と自分自身で解釈する内容が大きく
異なっているのです。かつてわたしもそうだったと思います。ですが、それを改める
ことはできます。たとえ自分はそのようなことは一切やっていないと思っていたと
しても、あなたをよく知る人から見れば、それが本当か、そうでないかは、
はっきりとわかるものと思います。
自作の資料を手に。
イベントの終盤は、佐々木ファームの社長とサンマーク出版の編集者さんとの対談を
含めたトークライブが行われ、個人的に佐々木ファームが展開している
「ありがとう農法」は「ガラクタ整理」に共通するものを持っていると感じました。
とても大きい「可能性の種」を収穫できたと感じ、全員の愛がこもった会場を後に
しました。
イベントの名前にもなっている「大地」。
実は既にこの世から「お引越し」をしてしまったお子さんの名前です。
彼の存在が、佐々木ファームを大きく展開させました。
イベント会場には、社長夫妻が済む家があるのですが、なんとなく、その家の2階の窓から、大地君が楽しそうに眺めていたような気がしました。