つたわりとどけ。

日常と非日常のはざまから、伝え、届けたいことを個人で探求し、実践します。このたび不定期更新に切り替えました。

そういうものに、わたしはなりたい。~宮澤賢治の展示を見て~

きょうは昨日リーグ優勝を決めた北海道日本ハムファイターズのことについて書こうと思ったのですが、熱すぎる想いがあるのでどれだけ書いてしまうかがわからないため、ちょっと間を置くことに。日ハム優勝で感じたことは、明日の日記にまとめようと思います。

 

 

で、昨日は久々に札幌駅~中島公園へ外出。

 

 

外出の目的は、コレでした。

 

 

 

www.h-bungaku.or.jp

 

 

 

 

宮澤賢治の展示を見るのはひょっとしたら初めてかもというくらい、わたしには馴染みのある存在でした。過去には角川文庫で全作品を揃えていたほどです。

 

銀河鉄道の夜」「セロ弾きのゴーシュ」「オツベルと像」「注文の多い料理店

など、映像化された作品も数多くあるなか、わたしが一番身近に感じている作品が

 

雨ニモ負ケズ

 

 

でした。

 

 

 

これは日本ではとても有名な詩のひとつです。

この詩に関しても様々な研究がされているくらいの、大きな大きな作品です。

 

 

ではせっかくなので、この詩をご紹介したいと思います。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

雨ニモマケズ

風ニモマケズ

雪ニモ夏ノ暑サニモマケヌ

丈夫ナカラダヲモチ

慾ハナク

決シテ瞋ラズ

イツモシヅカニワラッテヰル

一日ニ玄米四合ト

味噌ト少シノ野菜ヲタベ

アラユルコトヲ

ジブンヲカンジョウニ入レズニ

ヨクミキキシワカリ

ソシテワスレズ

野原ノ松ノ林ノ※(「「蔭」の「陰のつくり」に代えて「人がしら/髟のへん」、第4水準2-86-78)ノ

小サナ萓ブキノ小屋ニヰテ

東ニ病気ノコドモアレバ

行ッテ看病シテヤリ

西ニツカレタ母アレバ

行ッテソノ稲ノ朿ヲ負ヒ

南ニ死ニサウナ人アレバ

行ッテコハガラナクテモイヽトイヒ

北ニケンクヮヤソショウガアレバ

ツマラナイカラヤメロトイヒ

ヒドリノトキハナミダヲナガシ

サムサノナツハオロオロアルキ

ミンナニデクノボートヨバレ

ホメラレモセズ

クニモサレズ

サウイフモノニ

ワタシハナリタイ

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

漢字とカタカナの表記は当時のものです。

 

これを現代表記に変えると

 

雨にもまけず

風にもまけず

雪にも夏の暑さにもまけぬ

丈夫なからだをもち

欲はなく

決して怒らず

いつもしずかにわらっている

一日に玄米四合と

味噌と少しの野菜をたべ

あらゆることを

じぶんをかんじょうに入れずに

よくみききしわかり

そしてわすれず

野原の松の林の蔭の

小さな萓ぶきの小屋にいて

東に病気のこどもあれば

行って看病してやり

西につかれた母あれば

行ってその稲の束を負い

南に死にそうな人あれば

行ってこわがらなくてもいいといい

北にけんかやそしょうがあれば

つまらないからやめろといい

ひでりのときはなみだをながし

さむさのなつはオロオロあるき

みんなにデクノボーとよばれ

ほめられもせず

くにもされず

そういうものに

わたしはなりたい

 

 

となります。

 

宮澤賢治は様々な顔を持っていたことが、今回の展示を見てよくわかるようになっています。

 

詩人や童話作家であったり。

教師であったり。

そして農業にも、鉱物にも明るかったようです。

 

 

 

また宮澤賢治は、法華経を信仰していたことでも有名です。

 

展示資料を見てみると、熱心に法華経を勉強していたことがわかります。

しかしこれは法華経のみならず、幅広いジャンルに関して興味を持っていたようで、その探究力には目を見張るものがありました。

 

 

こういった宗教的思想は、作品に少なからず影響を与えます。

宗教的思想のみならず、その人の生きかたと言い換えたほうがいいかもしれません。

 

 

 

 

 

改めて見、そして詠んだ「雨ニモ負ケズ」。

 

個人的な視点でしかありませんが、わたしはこの作品には「法華経ではない、もっと大きくて原始的なもの」の影響を感じました。そしてそれは人生経験で補填できるものでもないと思っています。かんたんに言うと、法華経の影響ではここまでの詩は詠めないと思ったのです。法華経は全部で28品ありますので、ひょっとしたらどこかにあてはまるのかもしれませんが、今回の展示を見て回った感想としては、この詩はまったく違う次元で詠まれたものに感じてしまったのです。

 

 

この詩は最初のところが有名で、後ろの方はあまり紹介されないことが多いです。

部分的に紹介されるのもいいとは思うのですが、この詩が伝えるもののすべてを感じて受け止めるのは不可能だと思います。やはり全篇を読んで味わってもらわないと、少なからずその心境やスタンスは理解しがたいと感じています。

 

加えて、この詩が伝えることを理解できるときは、いったいいつになるだろうと考えてしまいます。ひょっとすると、この詩が発見された時代だったのかもしれませんし、いまではなく「この先」の時代になるかもしれません。それくらい、この詩が伝えるものは、そのニュアンスの表現が難しいのです。もしくは、表現を喩えたことばがあるのかというくらいです(単純にわたしが無知なだけかもしれませんが)。

 

 

 

明らかに昔と比べて詠んだ後の余韻が違う。

それは年齢の影響かもしれませんし、経験の影響なのかもしれません。

 

それは1冊の本を、長年にわたって何度も読み返した時に感じる、新たな発見のようでもあります。そのような感覚を得た時には少し戸惑いましたが、次第に納得ができるようになりました。

 

 

 

 

わたしがこの詩に出逢ったのは、母方の祖父からもらった貯金箱にこの詩が書かれていたのがきっかけでした。

 

プラスティックで伸縮性のある、しかも何故だか猿の頭がありその胴体の部分に詩が書かれているというなんとも不思議な貯金箱でしたが、頻繁にその詩を詠んでいたと思います。そのためか、賢治の全作品のなかでも、この詩がいちばんのお気に入りです。

 

 

そして、予想外に嬉しかったことがありました。

展示のなかに、棟方志功の版画が展示されていたのです。

雨ニモ負ケズ」の版画です。

 

棟方志功の作品も好きですが、このような作品があったことをすっかり忘れていたとともに、その版画と、そこに刻まれていた詩のことのはひとつひとつが、染み入るように入ってきました。

展示コースの最後には、賢治の関連作品の一部がその場で読むことができるようになっています。もし時間があるのなら、そこでゆっくりと読み耽るのもいいと思います。

 

 

 

昨日は気温が低いながらも、湿気のある天気でした。

少し歩けば汗を帯びる。

夏はまだ、続いているのかなと思ってしまうほどでした。

 

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