つたわりとどけ。

日常と非日常のはざまから、伝え、届けたいことを個人で探求し、実践します。このたび不定期更新に切り替えました。

スタートライン。 ~カリンパニの夜明け⑦~

ヴィパッサナーの日以降、身体が奉仕活動に慣れてきます。

そして同時に、心身の疲労感がかなりダイレクトに伝わるようになってきました。

 

 

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厨房に入っていると、ある程度自然に身体が動くようになりました。

ただ万全とはいかず、野菜をカットする際にいつもは廃棄している箇所をそのまま賄いめしにするなど、価値基準が異なる出来事があったことや、珈琲豆を電動ミルで挽くのですが、これがうまくいかなくて凹んでいたことなどがあり(そんなことでもです 笑)、これが終盤まで続いていきました。

 

しかしながら、雰囲気も変わっていきました。

食材の消費量をチェックし、自然と調節をかけるようになっていきました。

その背景としては、合宿の終わりが見えてきたことで、仕入れも最初の頃のようにガンガン仕入れることは出来ないということ。つまりは食材を余らせるわけにはいかないという空気が出てきたからということ。結果的にそれが良い刺激となり、最近の傾向を踏まえて提供する食事に反映させていくことができるようになりました。

 

 

 

いっぽう、疲労はどんどん溜まっていきます。

 

何せ1日の活動時間は

 

AM5:00~PM10:00(だいたい)

 

となっており、その7割強ほどの時間を厨房で過ごします。

その他には休憩やお風呂(実質シャワー)・洗濯・瞑想など。

まとまった時間としては1時間程度となっており、その他のすべてを食事提供に注ぎます。

 

その他期間中の飲み物の管理も行っており、食事以外の時間でも水・お湯・お茶などは提供できる体制をとっていました。食事時になりますとこれに牛乳・豆乳・紅茶・インスタントコーヒーなどが加わります。

 

 

 

身体はルーティンワークになれてきたものの、かなりなハードスケジュールになっています。その背景をアシスタント指導者は「洗い物があるため、負担がかかっている」と評しました。

 

ぼくは千葉県のダンマーディッチャにしか行ったことがありませんので詳しくはわからないのですが、ダンマーディッチャでは食事後「自分で」食器を洗っていましたし、その洗い場が食堂にありました。しかし今回は食堂に洗い場がないため、食器を下げてきてはただひたすら洗うという行程が加わっています。30人分を超える食器をひたすらに洗う。意外にもこれが疲労感を高めていました。朝食~昼食のあいだですが、もちろん、奉仕者も時間を見つけては食事をいただきます。しかしこれといった休憩時間を設けることが「荒い作業」でできなくなってしまっていたのです。洗い物が終わればすぐさま昼食の準備に取り掛かることになっていました。内心、「大学の食堂とかで働いている人すげぇ!」と、認識を改めていました。

 

 

 

ここでふと、感じたことは。

 

 

 

苦しみに対する姿勢が、これまでとはまったく変わっていたこと。

あれだけ苦しい苦しいと呪いにかかっていたかのように何かに取り憑かれていたのですが、アシスタント指導者のところへ行った後から、どこかに置いてきたようでした。その変わりようを見てみますと、やはり「ひとりよがり」だったのだと思います。「どうして○○なんだ」「ここは○○すべきだろう」と、自分の考えがスタンダードであるかのような主張と態度を、この数日間取ってしまったのだろうということです。やはりこれは「落とし穴」であり、ありがちな「偏り」であること。日常生活にも潜んでいる「普通」のこと。それを自覚しているのとしていないのとでは、振る舞いに大きな差が生じますね。

 

 

 

ヴィパッサナーの日を済ませた時点で、決意というものはより一層強固になっていました。

前半は、悲壮感たっぷりの姿勢でした。アホだと言われも仕方ありませんが、死ぬ覚悟で臨んでいました(実際に死ぬことはありません 笑)。後半は、その重みが取れました。代わりに秘めることができたのは「軽やかな覚悟」です。余計な重石を載せないでいることがこの期間中ではじめてできるようになった瞬間でした。

 

 

 

ここからの数日間は、余計なことを考えることはなくなりました。

ただただひたすらに。ただただひたむきに。

目の前のやるべきことをやる。

そうすると、不思議とクォリティが増す。スピードがつく。

歯車が、まわるのです。

これは、意識していてもできることだとは思いますただ、無理に意識をしないほうが、この境地、集中している状態に入ることが出来ると思います。

 

 

 

正直、体力的にはキツイ合宿でした。

奉仕者も、最低限座らなければ(瞑想を指します)なりません。そのため、参加者と比べると圧倒的に休む時間がありません。そのような環境のなか、よく持ち堪えることが出来たなとこの記事を書いていて思います。あれは半端なく忙しかった。料理の腕は確実に上がりました。でも、きつかった。何度ギブアップしようと思ったことか。何度、自分はダメ人間だと責めたことか。自分はみじめで無力だと、何度呪いのことばを投げつけたか。じぶんの寿命を縮めるかのようなことをしていても、何とか最終日まで辿りつくことができるところまでやってきました。

 

 

 

充実感。

そんなことを考える余裕もないまま、合宿は最終日を迎えることになりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

きょうまでに読んだ本

 

 レインツリーの国 有川浩 新潮文庫 (235)

自力で自立するマイスタイル起業 中山マコト パブラボ (236)