つたわりとどけ。

日常と非日常のはざまから、伝え、届けたいことを個人で探求し、実践します。

【詩】ぼくで終わりにする

夕焼けの明るさが草原の色を金一色にしていく

とても幻想的な光景だった

それなのにぼくは

アプリを開いてトークルームから退出するボタンを押していた

ほんとうは何かひとこと言ってからのほうがよかったかなと思いながら

 

たとえ絶望的だとわかっていても

自分が何かを言わないとという気持ちが強い

そんなんで引き戻せるとは思ってもいないし

却って嫌悪感が強くなることは明白だけれども

負け犬の遠吠えのようなひとことでも

ごめんなさいとかありがとうといったありきたりなことばなんかを書いてしまう

それは相手の反応を期待してのことではなく

自分の中で区切りを何とかしてつけたいからなのだろうとどこかでわかっていた

だからぼくで終わりにしようとしてきたんだ

 

多くの人はもうそれが終わりだとわかっていたら何もすることはないだろう

いわゆる自然にというやつなのだけれど

それは自然ではなく意図的なのだということを知らないのかもしれない

だからぼくは敢えて発信してきた

失礼だとも 今更何なのだとも言われてきた

そして自分の立場の優位性をこちらにぶつけてきては

唾を吐くように社交辞令を並べ立て

自分の無礼さに正当性の盾を構えて隠す

友情を結んだ人も 本気で好きになり また愛した人も

環境が変わってしまえばこんなものかと思わせるほどの変貌ぶりだ

 

ひとり またひとり

ぼくで終わりにしていく人は増えていく

それはとても悲しいことなのです

だってそれは起きてほしくないことなのですから

しかしながら実際はそううまくもいきません

いつしか疎遠になって

ごくたまに街中で会ったとしても

他人のふりをされたならば

絶望に近い傷を負います

ああぼくはヘタレだなと実感しながら

その人のアイコンをそっと消すのです

 

 

もう 終わりにしよう

ぼくで終わりにしよう

 

ぼくで終わりにできたら

もう ほかの人はそんな気持ちにならなくていいのにね