つたわりとどけ。

日常と非日常のはざまから、伝え、届けたいことを個人で探求し、実践します。

牧場の中で生活するということ

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写真は秋の午後、建物内にある食堂を撮影したものです。

 

現在外の景色は真っ白になっていますが、飽きずに毎日見入っています。

 

 この建物がある場所は牧場で、周囲には牛舎が多数あります。

その他に工場や詰所、機械庫などの設備があります。

 

 

 

最初にこの風景をみたとき、自然に触れながらの生活が出来る理想に近い場所だと思いました。それまでは想像力に欠けていたため、このようば場所がイメージするものに近いのではと素直に思いました。反面、大変さも実感しています。市街地から離れていることをはじめ、いろんな不便さがもうその場所にはありました。清濁併せのむではないですが、いいところもそうでないところもまるっと許容できればと思い、この場所で生活することに決めました。

 

 

 

 

周りが自然だから「静か」。

そんな日もあれば、「そうではない日」もあるのだと、そのうちにわかることになりました。

 

この牧場では牛を飼育しています。

毎月仔牛が産まれているため、出産時の母牛の声をはじめ、餌を求める声や仲間と会話するかのような声など、実は結構鳴いていることが判明しました。

 

中でも慣れなかったのが「離乳」時の鳴き声です。

 

 

この離乳ですが、仔牛の乳離れをするための措置で、普段は同じ牛舎にいる母子の牛をそれぞれ違う牛舎に配置するというものです。聞いたところによりますと、一般的な牛は産まれてからおよそ1か月で離乳をさせるそうなのですが、この牧場では6か月親子で過ごしてもらった後に行います。

 

そのためか、仔牛の鳴き声はかなり大きく、遠くまで響きます。

 

牛は夜行性(勤めてから知りました)だそうなので、鳴く元気のある仔牛は一晩中鳴いています。少し落ち着いたと思ったらまた鳴くの繰り返し。最初はこの理由がわからず、何で鳴いているんだろうと心配したものです。

 

 

 

 

最初はわからなかった牛の鳴き声も、シチュエーションによっては何といっているのかぼんやりですが理解できたような気がするようになりました。しぐさも含めて理解が出来れば尚いいのですが、人間同様気まぐれな一面も見せることがありますので、そう簡単にはいかないようです。

 

 

 

 

 

牧場では牛の鳴き声以外にも、動物たちの声が聞こえます。

その声が素晴らしくよく聞こえます。

人によっては心地よく感じない光景でも、自分はそこでナンタルカというものを勝手に感じているのです。

 

 

お産の兆候があれば夜中でも様子を見に行ったり。

鳴き声が聞こえてきたらどのあたりからかを探ってみたり。

他の場所からいろんな声が聞こえてきたら季節を感じてみたり。

無音の時間をただただ浴びていたり。

 

これまで経験したことのない生活を、毎日させてもらっています。

 

 

 

陽は短くなっているので満足に動ける時間も短くなっていますが、その中でもやるべきこと、やりたいことを組み立てて毎日必死で動いています。自然のなかでの生活はのんびりではなく、意外と忙しくしています。疲れも溜まりますが、この場所にいることにとても満足しています。

 

今でも順風満帆とは言えませんが、これから先もどんな荒れた天気になるかはわかりません。それこそが自然の中で生きるということなのでしょうし、周りにいきものがいるという生活を送るということのなのだろうと思います。

 

 

自分がこの場所に来て初めてお産の介助を行い、無事に生まれた仔牛ももう親とは離れ、元気に生活しています。

 

牛は毎日たくましく生きています。

人間も、そうなれるはずなのだと思っています。