「有川ひろ」って、誰?
そう思って手に取った一冊でしたが、かの「有川浩」さんだと時間差で気づきました。
有川さんのエッセイを読むのはおそらく初めてなのですが、とてもアツイ、そして重厚な一冊だったと読後に思いました。個人の勝手な印象ですが、エッセイは「軽く読める」というものだったんですが、この作品は「じっくり」読むほうの本だったのです。その背景には有川さんの作家や人としての信条等が大きく関係しているのかなと読んでいて思いました。
「これほどはっきり言う人も珍しいのではないか」
読んでいてそう感じたものです。
その姿勢に対してはいい悪いという評価が付きまといますが、有川さんはその評価を気にせず、ご自身の考えをきっぱりと主張しておられます。気にされているのは評価ではないことがわかりますし、社会問題をはじめとした、これから危惧されるであろう(もしくは既に問題として顕在化している)ものごとに対しても責任を以て論じておられます。それは決して無敵とか無双なのではなく、ほんとうに「責任」を負っていらっしゃるのです。その姿勢に自分の背筋が伸びる思いです。
本は300ページほどあり、なかなかの厚みを持っています。
構成ですが、有川さんがおすすめする本を紹介していたりなど、楽しく読めるようになっております。
その中でもテーマとして個人的に考えていきたいと思ったのは「ネット時代の言葉の力」というくくりで掲載された文章の数々。
これは有川さんだけではなく、他の方々も問題提起をしていらっしゃる事項になります。
言葉は自由という権利を主張し、それを行使していますが、その影響はどのようになっているか。それはもう多くの方がご存知のはずです。
ネットという媒体に限らず、言葉を使う以上、その責任と波及効果の所在をある程度認知しておかなくてはなりませんし、無視も放棄もしてはなりません。
偉そうに言えた話ではありませんが、いち表現者として修業している身としてこの本に触れることが出来て、ほんとうによかったと思います。
八雲町立図書館蔵