つたわりとどけ。

日常と非日常のはざまから、伝え、届けたいことを個人で探求し、実践します。このたび不定期更新に切り替えました。

【詩】365

同じ日がたくさんあるのではなく

 

違う日が集まって

 

365という日にちが出来上がる

 

ときおり1日増えるけれど

 

変わらない日など1日たりともない

 

 

 

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じわりと季節が変わるように

 

わたしたちもじりりと変わっていく

 

向かった先に居る人が変わるように

 

いつも走る道の青さが変わるように

 

 

 

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久々に立ち入った場所で

 

しばらく振りの人に出会う

 

社交辞令に似た挨拶を交わし

 

笑顔でその場を後にする

 

 

 

自粛を行っていたお店に行き

 

目立ちすぎる差し入れを置いていく

 

中の人たちは落ち込んでいるところか元気で

 

肩透かしをくらうかたちになった

 

でも そのほうがよかった

 

だって きみがいたから

 

いつもいるわけではないことはわかっているんだけど

 

やはりたまにしか行かない場所にきみがいることの奇跡を歓迎したい

 

いる日もあるしいない日もある

 

その積み重ねで毎日が出来上がっているのだから

 

だからここからの毎日は

 

きみに少しでも逢うことができて

 

きみと少しでも話すことができて

 

きみと少しでも一緒にいることが叶うように

 

その1日を そして1年を過ごしていこう

 

 

 

泣いた日笑った日怒った日悲しんだ日

顔も見たくないと思った日

仕事したくない 仕事を辞めたいと思った日

自分なぞもうどうでもいいと思った日

 

そして

 

きみを想った日

きみに逢いたいと願った日

きみとまた話したいと祈った日

【詩】なみだ

涙を流すときはどんなときだったろうか

 

送別会の席でふと思った

 

涙はひとつの指標のようなもので

 

その人のいきかた いきざまが見える気がする

 

普段涙とは縁遠いひとが実は涙もろかったり

 

この人は涙を流すだろうと思いきや飄々としていたり

 

涙のパラメーターは実はよくわかっていない

 

でも何となく思うのは

 

涙は浄化だなということだった

 

 

 

 

涙もろい年齢になるといつも思うが

 

何度も何度も禊をしているような感覚になる

 

あれだけ世間に対して無頓着だったのが

 

ありとあらゆることに感動している

 

実はこの世界は感動でできている

 

そこに真摯に向き合っているかどうかの境目が実はあった

 

 

 

目頭が熱くなること

 

涙で言葉がうまく出てこないこと

 

涙は尊い何かを呼び込む

 

そうでなければ流れるものではない

 

 

 

隣にいる人の涙を見て

 

その人がようやくわかった気がする

 

 

 

涙を誘うことはあまりおすすめできないけど

 

涙を流したほうがいいよなと思って

 

一滴を投じることがある

 

わたし自身の存在など実はどうでもよく

 

その人が涙を流すこと自体が大事なのだと割り切る

 

 

 

それでも

 

ぼくはきみの嬉し涙が見たいと思ってしまう

 

 

 

星空が祝福した次の日

 

世界はうっすらと白くなった

 

世界は 時間よ止まれ と言いたげだった

 

 

【詩】まやかし

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経済というものが発展してからというものの

 

都会の中に救いを求める声が生まれてきた

 

豊かになっていこうという動きの中に

 

人生からの救済を求める切実な願いがあるのは

 

誰しもが求める豊かさは一緒ではないということの裏返しだった

 

 

 

 

時代は進み 近代化と言われてきても

 

近代化とは真逆のものに 世界からの脱却を望む者が増えてきた

 

浮世のモノはすべて捨てよという声を信じ

 

この世界でしか積み上げることが出来なかったものをそのまま差し出す

 

原始のころの存在はそれを求めなかったのだが

 

今はなぜか 現人神を謳う不確かな存在に没頭している

 

そこにあるのは純粋な信仰心ではなく

 

計算しつくされたコントロールであるかもしれないのに

 

 

 

 

自分の耳に囁かれる救いの言葉は

 

自分がちゃんとつながっている証拠だと思ってしまう

 

その救いの言葉を発したのは大いなる存在だと

 

誑かす存在だとは微塵にも考えず

 

自分を肯定する言葉のみに頭を垂れる

 

そういった術式にすすんでかかるようになってしまった

 

 

 

 

物事の真ん中にいると実はよくわからないが

 

少し離れてみると何が起きているのかは一目瞭然になる

 

信じる信じないは別としても

 

何が起きているかを事実として受け止めることはできる

 

 

 

いまこの世界にはいろんな騒動があり

 

いろんな救いを指し示す妄動がある

 

どうか不安にならず堂々と

 

迷いを引き込むものから離れますように

【詩】待ち侘びること

我慢は期限があるから出来るものだ

 

 

そうだと気づくまでやや少しの日にちが必要だった

 

 

際限なく求められる遠慮は肩身を狭くさせ

 

 

窮屈になった心身は短いスパンで癒しを求めるようになる

 

 

20年ほど前に世紀末はやってくると信じられていたが

 

 

どうやらそれはだいぶ後になってから来るのではと感じた

 

 

兵器を使わずに平気で他人を攻撃する時代

 

 

それは有史以来の一大事なのだと思う

 

 

 

 

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どこかで自己中心的な人が眉間に皺を寄せながら社会批判をしている間にも

 

 

積もり積もった雪は雪解け水になる

 

 

そうしてすべてを流していく

 

 

根に持つのはどうやら人間だけらしい

 

 

それはいつかの自分にも当てはまる

 

 

いや それは今もなのかもしれない

 

 

 

 

わたしたちは待ち侘びる

 

 

概念としての春を

 

 

日常という名の平和を

 

 

そして

 

 

日々想うきみからの誘いを

あれからちょうど1年だった。

きょうはどうしても行かなくてはならない場所があった

 

それは「かつていた場所」だった

 

その場所は恒久的にあるわけではなく

 

いわば期限付きの場所

 

その運営がきょうで終わる

 

だから

 

この目に焼きつけておきたかった

 

完全自己満足のロマンチストだけれど

 

この場所は自分にとって特別なのだと

 

誰にも理解されるわけではないけれど

 

 

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自宅に戻ってからふと 過去の記述を確かめてみた

 

 

maruyamabase.hatenablog.jp

 

偶然にも

 

この場所にいた 最後の勤務日が1年前のきょうだった

 

感傷的な人間は見向きもされないけど

 

これはもう個人で許容していればいいだけの話

 

それは少なからず誰にもある

 

その要素は必ず持っている

 

 

 

今年度の営業は午後6時までだったから

 

少しあたりが暗くなってきた頃にその場所を離れた

 

この場所はかつていた人員が店舗として引き継ぐそうだ

 

色々声はあるだろうが

 

1日も長くその場所にいてくれればと思う

 

 

 

もはや地方だけではない

 

閑散とした世間は砂漠のように広がっていく

 

都会ですら華やかなのはごく一部で

 

視界を別のところに向けると違った現実が見えてくる

 

わたしたちの活動はそれに抗うものだ

 

生きることは それに抗うものだ

 

そんなことを感じていた

 

 

 

 

この日は雪ではなく

 

雨が降っていた

 

季節は着実に春へと向かっている

 

わたしも足枷を外さなければと思った

【詩】遠くに望みを

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春の空とでも言えばいいのだろうか

 

その青はどこか暖かさを含んでおり

 

雲間から見える灯りは癒し以外の何物でもなくなる

 

下界はまだ白銀に包まれているけれど

 

そこからちょくちょく 花が顔をのぞかせている

 

 

 

 

巡ってくるのは何も良い知らせだけではなく

 

突然ガラスが割れるような ショッキングなことも運ばれてくる

 

それは疾風の春一番

 

 

 

 

知らせは今や あの道路沿いから来ることはなく

 

電線づたいに届くわけでもない

 

どこかに建てられているアンテナから発せられる電波で届くことが多くなった

 

それでもこの時期はどうにもそわそわしてしまう

 

離れることが多くなったはずなのにまだ

 

離れる事実が怖いと思っている

 

だから何かに対する感想や報告ほど

 

覚悟しなければならないことはない

 

 

 

どのような場所に住み変わっても

 

届けられる便りは大体同じ

 

つい遠くに望みを抱くが

 

世間は変わらず回っている

【詩】その風はやがて息吹に

春を告げた日

 

世界は風に包まれていた

 

 

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あらゆるものをもぎ取り

 

あちこちに飛ばしていく

 

季節を告げる風は

 

いつもよりは少し強めだった

 

 

 

風が吹いているあいだは会話もままならず

 

聞こえるべき音もかき消されてしまう

 

五感のひとつがままならないのをよそに

 

過去に押し込む力のみが見えない先に立っている

 

 

 

山から吹き下ろすそれは

 

歩みの足を止める

 

それはもう先延ばしではなく

 

意思とは裏腹に

 

 

 

ただそれはいつまでも続きはしない

 

やがて強さは引いていき

 

背中を押してくれるくらいにまで変わっていく

 

その息吹を纏い

 

きみのところへ飛んでいく

【詩】いつのまにか陽になって

みるみるうちに積雪は融けてゆく

 

あれだけ行く手を阻んでいた重みのあるものが

 

萎縮していくかのようにどんどんと

 

その下からまた かつての光景が見えてくる

 

 

 

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どこかの一角では既に花が咲いていた

 

ほほをかすめる風も 今日は冷たくはなかった

 

 

 

あなたからの便りも これくらい暖かいものであったなら

 

どれほど待ち遠しくなることだろう

 

 

だからひそかに

 

この胸のいちばん奥に