先月末、1枚のアルバムが発売されました。
そのタイトルは「ファントーム」(フランス語らしいです)。
宇多田ヒカルさんの新作が、8年ぶりにリリースされました。
前作は「HEART STATION」ですが、今聴いてもまったく色褪せずにいます。
新しいアルバムは全11曲。
ご存じのように、NHK朝ドラのテーマソングだったり、日本を代表するアニメーション映画のエンディングテーマなどが収録されています。
この作品の発売の前後に、音楽専門チャンネルやNHK等で、彼女を取り上げた番組が放送されました。
実はまだ新作を聴いていないのですが(笑)、過去の作品を振り返り、感じたことを書いていこうと思います。
音楽専門チャンネルでこれまで見たのは、主にMV(ミュジックビデオ、PVとも)やライヴカット、そしてライヴ映像など。ここ数日はずっとリビングでヒッキーの歌が流れていました。
そして先ほど見たNHKの「SONGS」。
糸井重里さんと宇多田ヒカルさんの対談という形式で、様々な話をしていらっしゃいました。
わたしは現時点で宇多田ヒカルのCDアルバムは今回の新作しか持っていないのですが、時折無性にこれまでのアルバムが聴きたくなることがあります。そしてユーチューブで彼女の代表曲を聴いたりなどして、想いに耽ることもあります。
今回、MV特集の番組で何回となく彼女のこれまでの代表曲を聴いたのですが、どうして何度も聴きたくなってしまうのだろうという疑問が湧いてきました。これって現代の曲ではなかなかないことで、次々と新曲が書かれて発売される世間は「はい聴きました。これで終わり。」で見向きもされないような感覚があるのです。彼女の曲は、不思議とそれがありませんでした。もちろん、こういった印象的な曲は、彼女以外のアーティストでもいらっしゃると思いますが、何だか久しぶりのような、それでいて聴くたびに新しい発見をすることができる。まるで長年ベストセラーになっている本を読んでいるかのようでした。
その答えをもらったのが、NHKで放送された「SONGS」。
井上陽水さんなどのコメントで「切なさ」と、休止前の彼女の歌を評していました。
また、彼女は自分が「苦しみながら歌っている」と評価。
わたしはまったくわかりませんでしたが、この「切なさ」に関しては何となくわかるというか、だから魅かれ、何度も聴いていたのかなと思いました。
そんな考えや想いを巡らせていたら、歌詞を読みながら、過去の楽曲を聴きたくなりました。レンタルしてこようか、それとも中古でもいいから買ってこようか悩んでいます(笑)。モノは増えてしまいますが、何となくで増やすわけではないのでこれはアリ。近々全タイトルを揃えようと思います。
シングルで出た曲を中心に聴きこんできた「これまで」。
アルバムに収録されている曲を聴きこもうと思う「これから」。
ひとつの「線」を超えることで、何かしらの変化があるかもしれません。いや、ないかもしれないけど。
印象的だったのが、宇多田さんが母親への想いを歌にする際、今ある言葉では表現できないから~というお話がありました。これには意表を突かれました。
その曲というのが「花束を君に」なのですが、言葉では伝えることが出来ないからこうするねっていう想いというのがすんなり表現されています。でもそれはわたしにとっては「え?」という疑問符が立ってしまうのです。というのは、わたしは「表現力」をつけたいと考え、こうして毎日ブログを書いたりすることで鍛えています。そしてそれは、今は表現できないことでもゆくゆくは表現できるのではという根拠のない確信のようなものを抱いていたからです。でもこの曲の歌詞では、言葉では無理だからこれをするねって言ってる。決して反発したというわけじゃないのですが、とても衝撃でした。それが、何となく納得できるからです。
これはわたし自身が考える仮説なのですが、長い時間が経過した中で、忘れ去られてしまった「表現」があると考えています。昔は言い表せていたものが、今は何故だか表現できない。どう言えばいいかわからないということが何度かあり、その疑問を探求する中でこのような仮説が生まれました。
でも、文明文化が発展しているので、そもそも今ある言葉では「言い表すのは不可能」かもしれません。それこそ「新語」を生み出さなければならないのかも。そう考えると、わたしが目指していることは結構「貪欲」なのかも。でも、それくらいの心意気がなければって、思ってしまいます。
休止前の作品と、今回のアルバムはまったくその印象が異なるそうです。番組内でも3曲ほど歌を披露されていましたが、確かにこれまでとは違う印象を持ちました。今はまだアルバムを保護しているフィルムを破ってプレイヤーを回す余裕がありませんが、録画した残りの番組を見た直後にずっしりと聴きこむのもいいかなと思いました。
こんなタイミングで、ひとりのアーティストの歌を聴きこむというのも最近では珍しい。それはまるで、明日書こうと思っていた記事をしっかり書き上げるための、復習というか、整理のようなものだったのかもしれません。
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