つたわりとどけ。

日常と非日常のはざまから、伝え、届けたいことを個人で探求し、実践します。

宅配便(宅急便)問題に関するいち考察~佐川急便報道から考えたこと~

 

先日、1本の動画が話題となり、たちまち大きなニュースになりました。

 

 

 

それは大手宅配会社「佐川急便」の社員が荷物の配達中に起こした「行動」。

荷物=商品であるにも関わらず、その荷物をぞんざいに扱う姿が撮影されていました。

 

その後会社は事実関係を認め、謝罪。

特定された社員も事実を認め、現在は配達業務から離れているようです。

会社は今後モラルの徹底を行うとコメントしていました。

 

headlines.yahoo.co.jp

 

 

それを機に、宅配業界の「現状」を知らせる記事が次々と出てきました。

ぼくが目にした記事の中身は「取扱い荷物の増加」「宅配完了率の低下」など、総じていい話ではなく、結構な綱渡りをしているということが垣間見えてきます。

 

昨日、この問題をワイドショーで取り扱っていて、専門家(専門に研究しているかた)もコメントを寄せていましたが、いろいろと思うところ、そして考えるところがありましたので、あくまで「ひとつの考え」として書いていこうと思います。

 

 

 

見聞きした報道の背景を見ていくと「配達に訪問しても不在で、荷物を持ち帰る率が高い」ことと「配達しなければならない荷物の量がハンパなく多い」という状況が見えてきます。その状況に拍車をかけるように「人員が少ない」「宅配ボックスなどの活用に限界がある」という現状も見えてきました。

 

 

 

 

この佐川急便のドライバーが起こした騒動のあとに、ヤマト運輸側の見解として、通販商品をはじめとした荷物の配送個数がぐんと多くなり、朝から晩まで働き詰めという記事が出ていました。そう考えると、今回は佐川急便のドライバーが起こしてしまいましたが、これは特定の会社に限らず、どの会社の、どのドライバーにも起こり得る、まさしく一触即発に近い状況だというのがここで初めて見えてきました。

 

 

 

これらの記事を読んでぼく自身が感じたことは、物流の分野における変化に気づいていたようで、実は気づいていなかったのではないだろうか?ということが見えてきます。

 

 

 

これは札幌限定の話しで、かつぼく個人が感じた印象の話しになってしまうのですが、宅配で利用する業者は「日本郵便(郵便局)」「ヤマト運輸(クロネコヤマト)」そして「佐川急便」の3社に絞られてくると思います。

 

 

この3社に範囲を絞って考えていくのですが、まずこんな問題を感じました。

 

 

それは「配送拠点」の問題です。

 

 

 

まず日本郵便ですが、荷物を配達するための拠点は各区に最低1か所あると考えられます(札幌市は10区なので、最低でも10か所)。その場所はゆうゆう窓口と言って夜でも窓口が開いている郵便局になり、24時間体制で郵便業務を行っている重要な場所になっています(貯金や保険業務は除く)。

 

過去年賀郵便のアルバイトをした経験があります(厚別郵便局)が、配達の際にはその場所を配達拠点として業務を行っていました。

 

郵便局は普通郵便のほかゆうパックといった小包も配送してきたので、相応の経験を積んできています。もちろん繁忙期に関しては臨時で人員を増やし対応していますが、時折配達量の多さに嫌気が指してしまったというケースが報道されていました。

 

 

 

続いてヤマト運輸です。ヤマト運輸も各区に営業所がありますが、拠点の設置は郵便局以上にあると思います。その理由としては、その営業所を基点に配達をしているかどうかで、郵便局については簡易郵便局など、業務内容が制限されている場所もあります。配達拠点にはならずとも、その他の業務を行っているところが多いという印象もありましたので、配達拠点数についてはヤマト運輸が多いとの認識になります。不在票を見てみると、受け取りの荷物を管理する営業所が最寄りの営業所であることも魅力です。

 

 

 

最後に佐川急便です。佐川急便はこれまで結構な度合いで批判を受けてきています。その最大の理由は配送の際の荷物の取り扱いにあります。どうしてそう思うのだろうか?と考えたときに見えてくるのは、宅配最大手のヤマト運輸の存在があり、そこと比較していくと多くの人が見劣りしていると感じてしまうところにあるのだと思います。

 

これはぼく個人が経験した話ですが、知人がなまものを贈って下さったのですが、配送業者が佐川急便でした。荷物がなまものであるため配送に関してはそつなくこなすだろうという憶測を持っていたのですが、そこで思いもよらぬことが起きました。

 

なんと、配達日は在宅していたにも関わらず、その日は配達なし。

おかしいなと思って郵便ポストも見てみたのですが、不在票も入っていませんでした。

 

結果配送は遅れてしまい、なまものは食べることが出来ない状態に。

これに対してクレームを入れ、代替品を佐川負担で送ってもらったという経緯がありました。

 

ここまで判明するのに、実はまる1日の時間を要しました。

フタを開けてみると伝票に書いてある住所が「あいまい」であったために、違う場所に配達。その場所が不在であったため、不在票を入れて持ち帰ったとのことでした。

間違いは誰にでもあるとは思うのですが、あいまいで判断がつかない場合であれば電話で確認もできるのにな・・・と、その時は思いましたし、伝票に電話番号を記入する意味がありませんよね。そういった意味でも、情報判断する材料を有効に活用していないなと感じました。

 

そして、こちらの不満を募らせたのが「連絡先等」でした。

不在票等が手元にないので自前で調べてみたところ、佐川の配送拠点は札幌市に2か所あることがわかりました。営業所等の確認は行いませんでしたが、電話をしてもつながらなかったため、FAXでクレームの連絡を通知。翌朝一番に営業所の担当からお詫びの連絡をもらったのですが、ただお詫びするだけで解決が見えてはきませんでした。

 

そこでもうひとつ驚いたことがあり、その時には既に厚別区から中央区へ引越をしていたのですが、荷物の保管等を行う担当の営業所がなんと「白石区」。

佐川急便の拠点は西側(小樽方面)にもう1か所あり、そこからの配送になるかと思いきや、遠い場所からの配送となることに驚きを禁じ得ませんでした。加えて、早急に配送する必要があるにも関わらず、その優先順位が「至急扱い」にならなかったこと。最後まで温度差を感じる対応となってしまいました。

 

 

 

結局不満話になってしまいましたが、以上のことから見ていくと、佐川急便の配送拠点は極端に少ないのでは?と感じてしまいます。そこから考えると、荷物を積んで配達に出るのはいいですが、遠いところまで配達しなくてはならなくなります。そしてそれが不在ばかりで、持ち出した荷物の大半を持ち帰ることが続いたとしたら、空虚感を感じてしまうのも無理はないのかもしれないと感じました。

 

 

 

 

3社を比較してみると佐川急便の旗色が悪い印象を持ちがちですが、ヤマトであれ郵便局であれ、同様の問題を抱えていますし、荷物廃棄などの事件を同様に起こしてしまっていたりもします。その頻度に違いがあるのはやはり社風というか、会社の営業方針であったり、従業員の使い方に違いがあるのではないかと感じています。

 

パフォーマンスの維持や向上、そしてモラル等の確立はもちろん必要ですが、とても大きな問題としてあるのは「たくさんの荷物を如何に配達完了にするか」です。ここを効率よく解決していかない限りは、ずっと同じことで悩み続けることになります。

 

しかし現状は、この荷物を配達完了にするためにかける労力がどんどん増えていっているそうで、そこには取扱いの荷物の量も大きく関係しています。ということは、取り扱う荷物の量が急激に増えたにも関わらず、インフラが充分に対応しきれていないままになっている、ということが言えます。インフラの整備も、単純に人を増やせばいい、拠点を新しく作ればいいという訳では、もはやなくなってきています。

 

 

 

ここで、いま宅配業界で抱えている問題を整理してみると

・取扱いの荷物の数がかなり(爆発的に)増えた

・配達を行う人員が少なくなってきている(または日常的に少ない)

・配達の効率が悪い(なかなか配達完了にならない)

 

 

これに、ワイドショーで言っていた問題を追加してみると

・温暖化の問題

・インセンティブの問題

 

 

が出てきます。

 

 

 

もともと、出てきた問題は「ひとつ」であったように思いますが、それが「まだ大丈夫」と言っているうちに、許容量を超えてしまったと見るべきではないかと感じます。

 

そしてこれはもう、いち会社の問題ではなく、業界全体の問題になっており、これを放置してしまっては様々な分野においても多大な悪影響を与えてしまうことになりかねません。

 

 

こういった問題に対してはよく「企業努力」ということばを投げかける方がいますが、もちろんそれも必要です。しかし、それだけでは到底解決出来ないとしたら、他にどんなことばをかけてあげるのでしょうか?それでも「企業努力」しか言うことが出来ないならば、それは「企業努力」と「根性」を混同してしまっているのかもしれません。

 

 

 

これ、もう立派な「社会問題」であり、または「環境問題」でもあると思います。

この状況が悪化していくと、他の分野においてもその影響が及んでいくと考えるのが自然です。

 

 

では、どのような問題が起きてくるでしょうか。

 

 

仮として、問題の発端を「取扱い荷物の爆発的な増加」としますと、そこに色んな問題が付随してきて、雪だるま式に問題が膨れ上がります。

 

 

荷物量が増える

+日時指定の配達品が増える

+不在となり、営業所に持ち帰る荷物が増える

=次第に時間に縛られた配達となっていき、ひとりでの配達は困難になっていく

 

 

上記の展開を放置すると

 

配送のための人員が足りなくなる

+配達員の拘束時間が増加し、ときには休日も減る可能性が出てくる

+遅配が生じる可能性が出てくる

=配達事故(総じて)が発生する可能性が上がる

 

 

そしてこの状況が、意外なところへの影響を及ぼします。

それが排気ガス」。

 

ワイドショーで話していたことなのですが、排気ガスの割合を分析した際、およそ4分の1が宅配を行う際に発生するものだという話が出てきました。この表現は正確ではないかもしれませんが、宅配業者の車から出る排気ガスが温暖化を促進しているという衝撃的な展開です。ここからの影響を考えていくと

 

 

排気ガスが増え、温暖化が進む

+環境悪化(大気の汚れが顕著になる)

+路線によっては配達時車線をひとつ塞ぐことが多くなるため、円滑な交通に鈍りが生じる

+日常的に道路が混みあう

=日常生活や余暇行動に影響が出る(観光地、または観光都市では訪れる人数の増減が顕著になるかも)

 

 

 

となる可能性が生じます。

ひとつの問題がその他の問題を「引き寄せ」、どんどん大事になっていき、それを放置し続けるとなかなか手が付けられない状況になっていくのは、想像に難くないと思います。

 

 

 

賃金やインセンティブ等の問題もありますが、これはまず会社側が積極的な方策をとっていく必要があると思います。その行動を起こしてダメだった場合は、業界全体で考えていくべきだと個人的は思います。

 

 

 

 

このように、ひとつの事件から様々な問題が見えてくることになりました。今回の件に限らず、他の業界でもこのような「ギリギリ」のことはあると思います。しかし考えて欲しいのは、その状況がいつまでも続くという保証はどこにもないし、いつまでも続けられるとは限りません。これは片方(特に下請けや納品業者)だけが我慢すればいいという話ではないですし、先の見えない話です。だって、その業者がダメになったら、結局は他の似たような業者を探してくるのですから。どうやら商売をする人は、他人に「我慢」をとことんさせたいようです。その先に大きな恩恵が待っているわけでもなく、真綿で首をしめるかのような仕打ちをしていると知らずに。

 

 

 

 

 

これを解決する策は、あるのでしょうか?

現在は荷物をコンビニで受け取ることができるようになったり(その他提携店や営業所でも受け取り可能に)、宅配ボックスを駅などに設置するようになりました。

宅配ボックスは好評のようですが、数に限りがあるためいつも争奪戦になるそうで、劇的な打開策には至っていないようです。

 

このような動きがあるのは、やはり再配達の件数を減らしたいということが明確です。そのために色々と動き出しているわけなのですが、ぼくが考えたのはこのようなことでした。あくまで素人的な考えなので、その点はご了承ください。

 

 

その解決策とは

 

「空き店舗などを利用した、荷物預かり所の設置」

 

です。

 

 

この発想を思いついたのは、東京の友人宅にお邪魔した際のことがきっかけでして、そこはいわゆるマンモス団地のようなところで、宅配の車は専用の駐車帯に車を停め、そこを拠点として多方面に配達に向かいます。

もちろん、不在であれば車、そして営業所へ持ち帰り、再配達の時を待つわけですが、そのマンモス団地は建物の1階部分に店舗が入っており、小さな商店街になっていました。そしてそこには当然、空き店舗がありました。

 

こういうところを使えないかと素朴に感じたのです。そこを拠点にして受け取りをすることが出来れば、ドライバーの負担も減るし、受け取る側も比較的近所で済む。持ち歩きの時間も最大限短縮できます。

 

 

ただ、この預かり所は「運営」になるので

・宅配会社の共同出資による運営

・新たに雇用を生むこと

 

が条件になってきます。

 

扱う荷物には制限がかかりますし、法的にどうなるかも調べてはいないので、これが現実的に実現可能かどうかはまったくわかりません。が、再配達に係る労力を分散・軽減させることが急務なのは変わりませんし、そこだけを目標としても無理があります。この問題を解決するために新たな経済的行動を展開していくこと等を含めて考えていく方が自然ではないかと思うのです。仮にこのような場所が出来れば、その場所に付随して新たな施設を造る動きも出てくるかもしれません。それはやがて環境問題にも一石を投じ、ゆるやかながらも改善のための実績を積み上げることにもつながっていくのではないかと感じています。それは新たな「生活デザイン」になるのではないかと考えていますし、場所によっては観光も絡んできますので、「観光デザイン」として考えていくこともできると思います。

 

 

以上、長々と書いてしまいましたが、このサービスを利用する側も気配り、配慮がもっと必要になってきます。その相互作用がなければ、改善の足取りは重くなります。

環境を見渡してみると、規模に関わらずいろんな問題が目についたりします。その解決を他人任せにしていては、いつまでもその問題は解決しないと考えていいでしょう。かといって個人単位で取り組むにも無理があります。地域の問題は地域に住むひとたちで解決し、改善していくのがほんとうは望ましいです。さらに望むべくは、その地域に深く関わる企業にも参加してもらい、よりよい「くらし」を目指すための努力をともに傾けていってほしいのです。そうすることで、「管理」の意識が共有化されますし、「維持」の意識も高まります。それは結果「安全・安心」な環境につながっていくのではないかと考えています。

 

 

 

 

 

ぼくもオークションやネットショッピング、旅先からの配送などで宅配を利用します。

だからこそではありませんが、荷物は出来るだけ最初の配達で受け取りたいですし、受け取ることができるように工夫をしています。荷物が事前に届くことが分かるサービスをヤマト運輸は提供していますが、それを使いこなせていない限りは、どこかで再配達は出てくるでしょう。再配達をゼロにすることは無理でも、ゼロに近づけていくことは可能です。それは業者、そして受取人双方の工夫が必要です。その工夫が思わぬところに良い影響を及ぼすと信じていきたいです。

 

 

 

内容はショッキングなニュースでしたが、この時期に読んでいた本などから考えが膨らんでしまいましたので、長くなってしまいましたが「じぶんの考え」を書いてみました。

 

明日はいよいよ、2016年最後の1日になります。

明日は今年1年のガラクタ整理について振り返り、新年を迎えたいと思います。

 

 

 

 

 

きょうまでに読んだ本

 

大覚寺大沢池景観修復プロジェクト 古代と現代をむすぶ文化遺産 真板昭夫・河原司 編 世界思想社

草魚(ソウギョ)バスターズ もじゃもじゃ先生、京都大覚寺大沢池を再生する 真板昭夫 飛鳥新社

 

 

-お知らせ-

 

・オラクルカードリーディングは、3枚セッションが定数に達したため、1枚セッションを含めて一度受付終了としました。

・ガラクタ整理に関するセッションは現在受付停止中です。

・上記により、対面セッションも年内の受付は終了しております。

・コメント欄を再設置しました(承認制)