札幌市にある北海道近代美術館にて開催されております、高倉健の追悼特別展に行ってきました。
この日の札幌は連日の真冬日。
雪も絶えず降っており、踏み固められておらず、細い歩道となってしまっているところが幾つもありました。
それまでの雪質とは異なることもあり、アイスバーンの上に定着せず残る雪は、転倒事故を誘う要因にもなっています。今朝は地下鉄に乗る前、1台の救急車が駅の入り口近くに停車していました。ストレッチャーも出ていたため、おそらく転倒事故があったのではないかと思います。滑りやすい路面には滑り止め用の砂が撒かれておりました。改めて、12月でこの天気は・・・と思ってしまいました。
寒さが厳しい中、会場へ到着。
前回はゴッホ展であったため、どうしても人混みを比べてしまいます。
この日は時間が早いせいもあってか、ほぼ人の姿はありませんでした。
館内に入りますと、いつもならば展示に合わせた物販のコーナーが館内ロビーのど真ん中に設置されているのですが、今回はなし。通常の物販コーナーに関連商品が陳列されているのみでした。
この様子にちょっと驚き。
そして、健さんならそうだよね、という意味不明な理解を示し、先日懸賞で当選した招待券を提示し、中に入りました。
展示の中身ですが、ふんだんに映像を入れております。
恐らくは劇場予告編であったもの、そして、劇中のダイジェストを織り交ぜたもので、その脇をスチール写真やポスター、台本や健さんが劇中で使用した小物などが展示されておりました。
ぼくは健さんの初期の作品をまったく知らないため、時系列に並べられた展示を見るたびに、驚きを禁じ得ませんでした。網走番外地などの名作はあると聞いてはいたものの、その中身を全く知らなかった訳です。断片的ではありますが、実際の映像を観て見ると、なんともいえない感情とともに、鳥肌が立ちました。これがあの高倉健なのかと。
展示には、健さんの作品の紹介とともに、社会では何が起きていたかも記載しています。
改めて見てみると、この時代にこんな作品を撮影していたのかという気持ちにもなりました。
そして度肝を抜かれる展示がひとつありました。
それは一部屋すべてを「映像」のみの展示にしていること。
これは新聞でも紹介されていたと思うのですが、長方形の部屋を6分割し、それぞれに違う映像を流すというもの。大きさは映画館ほどではありませんが、スクリーンがすぐ前にありましたので、映画館以上の迫力を感じました。
また、新鮮といいますか、当時の字幕の入れ方がとてもいいのです。
ナレーション的な文言を画面いっぱいに入れているのですが、その映像を観ていると何故かその作品自体を見たくなる気持ちになります。心理学的な作用なのかもしれませんが、現代においてもこのような手法は有効なのだろうなと思いました。
展示スペースの2/3は、ぼくが知らない高倉健が多く、知っているのはほんの一部と言うことがわかりました。時期的には南極物語あたりから、健さんの作品を観てきたということになります。その後、後追いで他の作品を観るようになりました。
いち俳優でありながらも、その存在感は日本国内のみならず、世界にも及んでいます。
この人の役柄なのか、それとも人柄なのか、もしくはその両方なのかもしれませんが、これほどに素晴らしい方がいて、しかも北海道の各地で多くの撮影をしていたというのは、北海道民として光栄であり、誉れでありそして誇りに感じます。
健さんのことを教えてくれたのは、かつてバイトをしていた時の大嘘つき社長なのですが、彼からもたくさんの本物を教えてもらいました。二度と関わり合いたくない人ではありますが、感謝しなければならない部分もあるのは事実。そこが悔しいですが、そういう役割があったこと、そして、そのような立場の人から学ぶということが必要だったんだなと観念しています。
展示を見ている人もまばらであったため、ゆっくりと過ごさせてもらいました。
会場出口近くにはノートが置かれており、思い思いのことを来場された方たちが書いていらっしゃいました。恥ずかしながらぼくも、健さんに宛てて書かせていただきました。
会場を後にする前に、物販に立ち寄りましたところ、健さんが好きだった喫茶店の珈琲のドリップバッグが売られていましたので、そちらを購入することにしました。
外の天気は時折晴れ間が射していましたが、午後からは少し先の信号も見えないくらいの雪となり、すべてのスピードが遅くなってしまいました。
除雪(雪かき)も、この日複数回行いました。ベランダの雪も膝頭くらいまでに積もっており、この冬の早さを改めて感じました。
札幌は今週末も荒れた天気になるようです。
年末も近づいてきたため日々忙しく感じてしまいますが、改めて丁寧さを意識して過ごしていこうと思います。
きょうまでに読んだ本
星とくらす 田中美穂 WAVE出版 (373)
()木の癒し ギーゼラ・プロイショフ 飛鳥新社 (374)