つたわりとどけ。

日常と非日常のはざまから、伝え、届けたいことを個人で探求し、実践します。このたび不定期更新に切り替えました。

爪痕がつくる轍(わだち)。

昨日の北海道全域における暴風雪は、とても大きな爪痕を残していきました。

 

 

 

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月曜から金曜日まで函館に出張で滞在しており、金曜日は函館の暴風雪を生身で体験していました。昨日が高気温となり、雨まで降っていたのに、1日経ちますと光景が180℃変わっていたことに驚き。1日で雪が融けてアスファルトが見えていたものの、1日で再び雪に覆われてしまいました。

 

北海道内ではこの暴風雪による事故等を頻繁に放送。

残念ながら死亡事故も発生してしまいました。

 

翌日の北海道新聞及び地元紙の函館新聞を購入し、昨日一日の動きを振り返ってみますと、昨日はほんとうに身動きが取れない状況となっていました。函館や隣の北斗市の市街地であれば車の走行は可能でしたが、地吹雪で一瞬にして視界が奪われるなど、神経が徐々にすり減っていく感覚をおぼえました。一般道の峠道は軒並み通行止めとなり、高速道路も時間が経つごとに通行止め区間が広がっていくため、金曜日も函館に宿泊することとなり、翌土曜日に札幌へ戻りました。

 

 

 

 

函館新聞によりますと、函館の累積降雪量が過去1位になったとのこと。

降雪量は496センチ。およそ5メートルです。

これだけ降るシーズンもほんとうに珍しいと感じます。帯広市では1日で雪がかなり深く積もっていた光景がテレビに映し出されていました。

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昨日夕方の北斗市内。

 

 

 

このようなどうにもできない光景から一夜明けますと、暖かさで再びアスファルトが見え始めていました。札幌も暖かさに包まれており、交差点には水たまりが多く出来ていました。しかし雪の重みは半端なく、除雪も一苦労です。札幌に無事戻り、帰宅後しばらくして行ったことは、駐車場の雪かきでした。プラスの気温は月曜まで続く見込みとなっているため、雪融けはいっそうすすみます。落雪や雪崩、斜面の雪が一瞬にして崩れ落ちる危険性があることを想像しておく必要を感じました。

 

 

 

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低くなったはずの雪山がふたたび高く。

 

 

 

自然を相手に、といった表現があると思いますが、今回のこの光景を見て、この表現を用いるのが何だか不遜な気がしています。ひねくれた理由ですが、果たして人間は自然を相手にするほど偉大なのか?というもの。どれだけ技術が進歩しても、このような事態が起きてしまいますと、一瞬にして機能がマヒします。機能がマヒすると、普段普通に出来ていることが出来ないことについて、苛立ちを覚える人が増え始めます。そうしますと、その怒りや苛立ちをどこかに向けて放ち始めます。

 

今回の暴風雪に関して、函館新聞では市内の除排雪に関する苦情が700件を超えたという記事がありました。この冬の函館は、何だか想定外の出来事が連続して起きているかのような印象を受けています。毎日どこかで車が立ち往生している光景を見かけましたし、札幌と比べてしまうのもなんですが、除排雪のスピードが明らかに違いました。普段は雪があまり降ることのない地域ではあっても、移動がままならないレベルに「一気に」達してしまった以上、大きな一手を打つべきだったと考えています。紙面には様々な対策を打ち出したとのことですが、これが半月でも早ければどうなっていただろうか?という「if」のはなしが延々となされることでしょう。

 

しかし、除排雪もタダではできないということを知らなくてはなりません。札幌市も毎年除排雪に関する予算の報道が出ていますし、地元の情報番組では特集も組まれるほどの「永遠の課題」になっています。単純に「除排雪が進んでいない。一体何をやっているんだ」と一喝するのは早いということになります。市民生活をつつがなく行うことができるようにしていくのが行政の務めではありますが、その行政が不測の事態でも動けるようにするための態勢を取ることを推進してきたのだろうか?と考えていく必要があるんじゃないかと思っています。余所者なので市政の現状はわかりませんが、辛口なことを言いますと税金を払うことを渋っているのに何か不都合が起きますと「税金を払ってやっているんだから」と批判ばかりするはおかしくないか?ということです。

 

今回のケースは明らかに函館市が動くタイミングが遅れた、または動かす規模を見誤ったと見ています。批判もときには必要だと思いますが、すべてを任せきりにするのではなく、ローカルルールを設けて行動することを決めておくことも重要なのではないかと考えています。昨日の悪天候は災害レベルと言っても過言ではないと思います。そのような事態に直面することは少ないと思います。今は不満を憶えていても仕方ないと感じますが、力が抜けてきたころに、改めて今回の背景を見ていかなくてはダメだと思います。

 

除排雪の仕組みがしっかりしているところでさえ、悪天候の規模によってはいともかんたんにマヒすることはあります。そのことを踏まえて、普段雪が降らない地域であっても、今回のようなことが起きた場合の「避難行動」などを決めておく必要があることを認識していかなくてはならないと思います。極端な言い方ですが、どのようにして「自分の周りだけでも」安全を確保していくか。その日のそれぞれの事情はあっても、無理なものは無理と言うこともあります。そういった可能性もあることを片隅において、残りの冬を安全に過ごしていくことが必要なんじゃないかなと思います。