「忘れぬものか」と想うことがある
人生には忘れていくことも必要なことだと誰かが言ったが
いまの「忘れる」という作用は なんだか「自分に不要なものや関わり合いたくないもの」だけに集中しているような気がする
忘れていかないと人は生きていけないとほかの誰かが言った
しかしそれは忘れることで自分の恥を隠すような行為に似ていると思った
ある人はこう言うだろう
「おまえのせいでせっかく忘れていたことを思い出したじゃないか」と
またある人はこう言うだろう
「忘れていかないと前に進めないから」と
そのどれもが
自分は決して悪くないのだと言い訳しているように聞こえる
生きていく中では
忘れていくことも大事なことはある
けど
忘れてはいけないほど大事なものだってある
それをどのような基準で更新しているか
いまこの時期に 胸に手をあてて考える
ぼくもこの先 少しずつ忘れていくことだろう
けど 忘れてなるものかと思うものは たとえ苦しみを伴うものであっても
この中に留めておきたい
それがたとえ 死を誘うほどのものであっても