つたわりとどけ。

日常と非日常のはざまから、伝え、届けたいことを個人で探求し、実践します。

【詩】いのちをかける

牛の出産を久方ぶりに見た

 

気が立ち興奮しながらも

 

どうにかして新しいいのちを放出しようと

 

母となる存在はただただ必死だった

 

 

 

 

 

太古より

 

新しいいのちをもたらすことはいのちがけだと聞こえてきた

 

過去にはいのちを落とすこともあったそうだ

 

技術が進歩しているから錯覚しがちだが

 

実は今もギリギリのところでいのちをかけている

 

それを誰もが 知らなくてはいけない

 

 

 

 

いのちをかけて生まれてきた存在なのに

 

どうしてそんなにも冷酷になれるのだろう

 

いのちをかけてもたらされた存在なのに

 

どうしてそんなに軽んじることができるのだろう

 

優越や重さなど

 

どうしてもいきものは比較したがる

 

今の自分の環境こそが頂点とでも言っているかのように

頂上から下界を見下ろしているかのような

薄っぺらい権力や優越感を振りかざしているはずなのに

いのちをどうも粗末にしたがる

自分の正しさのためなら

そのいのちですらというものだ

 

そんな世界に生まれてくる数多のいのちが不憫でならない

 

 

 

 

昨夜生まれてきた仔牛はとても大きかった

 

必死に呼吸し

 

必死に母を求めた

 

いきることに必死で

 

まさしくいのちをかけていた

 

 

 

そのいのちに呼応するかのように

 

外では蛙が褒め称えていた

 

いのちのためにいのちをかける

それは特定のものだけではなく

ありとあらゆることに通じることを

語りかけているような気がした