つたわりとどけ。

日常と非日常のはざまから、伝え、届けたいことを個人で探求し、実践します。

【詩】深い霧が呑む

先ほどまで見えていた向かい側の光景が

 

ものの10分ほどで見えなくなっていた

 

気がつけば自分が立っている周りも

 

先が見通せなくなっていた

 

いま自分はどこにいるんだろう

 

まるで別世界に連れてこられたようだ

 

 

 

 

この世界がいやだ と思うことがある

 

別な世界に行けたらと 何度も思ってきた

 

しかし違うところでならうまくやっていけると

 

誰が保証などしてくれようか

 

不遇に泣いても 誰かの仕打ちに恨んでも

 

結局は自分でどうにかしていくしかない

 

なにものにも頼らず

 

自分の優越感も誇示せず

 

 

 

 

 

霧はどこからかやってきた

 

山の向こうから

 

もしくは知らずに雲からそっと降りてきた

 

何もかもが見渡せると錯覚している人たちにとって

 

周りに何があるかも 自分がどこにいるかもわからないなんてことは

 

果たしてどのように感じるのだろう

 

そして どのように振舞っていくのだろう

 

 

 

 

どうしてかんたんに誓うことができようか

 

わかっているはずなのに

 

人はかんたんにそれを口にする

 

その不確かな重さを頼りに

 

人は幸せの行き先を決めてしまっている

 

それこそまさしく

 

深い霧のなかに足を踏み入れることなのに