【詩】見つける
こんな人ごみの中で
見つけられるとは思っていなかったんだ
こんなにたくさんの人の中で
逢えるとは思っていなかったんだ
だから遠くにその姿を見たとき
胸の鼓動が変わるのを感じたよ
自分にしかわからない変化だけど
数か月ぶりにみたあなたを見て
そっと名前を呟いた
人ごみの中だけれども
何とか見つけられるとは思っていたんだ
でも
きみがぼくとの視線を合わせ
手を振ってくれるとは思っていなかった
それはまさしく想定外だった
いい意味でぼくは愚かだと知ったよ
だからそのとき
薄暗い壁が崩れていくさまを見たよ
ぼくは閉じこもっていたんだってことを
この一瞬で知ったんだ
そしてきみはわざわざぼくのもとに来てくれた
もううまくいえないけどぐしゃぐしゃさ
嬉しくてしかたなかった
偶然の様にして顔を合わせては世間話をする
でも本当は話をしたくて仕方なかった
その姿だけでも見ることが出来ればと思って視線を向けていた
だから見つけてくれたときは本当に驚いた
ぼくはひとりぼっちを自称しているけれども
本当は見つけて欲しいのだと気づいた
どうか手を振ってほしい
そして話しかけてほしい
そんな当たり前のことを
天の川に祈っていた