つたわりとどけ。

日常と非日常のはざまから、伝え、届けたいことを個人で探求し、実践します。

札幌のクマ報道で考える。

記憶に新しい、もしくはもう忘れ去られてしまったかもしれませんが、札幌市南区の定山渓寄りの地域に連日クマが出没し、騒動になったことがありました。

 

 

そのときのニュースURLや市のHPなどを転載

 

www.city.sapporo.jp

 

youtu.be

 

www.hokkaido-np.co.jp

 

 

箱わなの設置も決まりましたが、決まるまでに相当の(と感じられる)時間がかかったように思います。結局このクマは猟友会(ハンター)によって駆除されましたが、この方針に関して道内外から様々な意見が届いたそうです。そんな報道を見て、いち個人として思うところを書いていきたいと思います。

 

 

また、今回の記事に関しては新聞報道や写真の本を底本とさせていただきました。

 

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「となりの野生ヒグマ いま何が起きているのか」

 

ネーチャーマガジン 「モーリー」 特別増刊

北海道新聞野生生物基金 北海道新聞社 編

 

 まず結論から言います。

今回の札幌市に出没したクマの件、駆除は仕方のない展開だったと思います。

 

理由を下記に述べていきますと

 

1.住民の安全が確保できない

2.長期戦になると様々な立場の人が疲弊してしまう(体力も財源も)

3.経済活動が滞る

4.交通インフラに影響の懸念

5.被害の拡大(食べ物のあるところを荒らされる・興味本位で無法者が近づくなど)

6.猟友会所属のハンターを招集するにも財源が必要

7.市街地に食べ物があることを学習すると、頻繁に出没することになる

8.人間などを恐がらなくなる(臆病にならなくなる)

 

というのが個人の見解です。

 

 

日常の光景にクマが出てきてしまいますと、一気に非日常に引き込まれます。

それが一時的であればいいのですが、長期化しますとどんどん対応が難しくなってきます。

 

札幌市にクマは毎年出没しています。

クマは元来臆病な性格だと聞いており、クマ自身、行動する時間帯を考えているように思います。なのでふんを見ることは多々ありますが、クマ本体を頻繁に見るということは少ないと思います。

出没する場所にもよりますが、市街地に出てしまいますと報道に熱が入ってしまいます。利尻島に泳いで渡ったとされるクマの報道や、島牧村に長期間いたとされるクマの報道からも、共通点は出てくるはずです。

 

 

 

では、ぼくが移住した北海道八雲町ではどうでしょうか。

 

新聞報道を基にお話をさせていただきますと、高速道路上や峠道によく出没しているという話があります。あとはお決まりの話として「畑」に多く出没しています。

そう考えますと、市街地にいるよりはその郊外でクマが多くみられている言えそうです。それを都会に当てはめてみますと、札幌市南区の住宅地にクマが出没し続けたことは、想定外の出来事だったのではないかと思っています。

 

 

 

 

クマは何故、市街地に出てきてしまうのでしょうか。

 

以前森林組合や猟友会のかたに質問した際、このような返答がありました。

「夏場は山には食べるものがない(あったとしてもだんだんなくなってきた)」

「畑などに行けばそこにおいしいものがあると学習するようになってきた」

というのが大きな理由だそうです。

イメージとして山や森が緑に覆われていきますと、そこに住む動物たちが食べるものも出てくるのではないかと考えていたのですが、大きく外れていました。

 

札幌市の場合、郊外には畑や果樹園もあります。そこにクマが出没するという報道は比較的多く見受けられます。ただその場所「以外」にも食べ物があると学習してしまったら・・・そしてそのクマが多量の栄養を必要としていたら・・・人間がなんと言おうと、クマはクマの本能で動き、人間の目の前に姿を現すことになるでしょう。

 

 

 

 

新聞報道で読んだことですが、クマを駆除したことに際しての意見が

・北海道内・・・賛同の意見が多い

・北海道外・・・否定・苦情の意見が多い

と分かれたようです。

 

 

 

否定的、または苦情となった意見の主なものとしては

 

・殺すまでのことはしなくてもよかったのでは?

 

というものだったそうです。

 

 

 

これはもう近年の動物に対する姿勢に変化が生じているためだと思うのですが、実際には難しい話だと理解しています。結果として札幌市南区に出没したクマは駆除されてしまいましたが、「出来ることなら駆除をしない方向」に動いてくれればという願いがあったはずです。そのため、各種判断には時間がかかったのではと個人としては思います。

 

 

誰も、いきものを殺めたいとは思っていません(そのはずです)。

しかし、現状人間の生活に恐怖や危険を及ぼしかねないとなった場合、それを未然に防ぎましょうという力がかかります。この時の主観は「人間」なので、人間の都合に合わせていく、ということになります。自然に生きるいきものを尊重したい気持ちもありますが、現状そのバランスは崩れかかってきています。その警鐘を鳴らしてきた方たちも多くいらっしゃいましたが、それに耳を貸さなかった先の展開が、現在のこの状況であるともいえます。自然界のルールといった表現がありますが、いつしかそれを忘れてしまったがための、この現状なのです。

 

 

この世界には人間と、人間以外のいきものが生きています。

しかしこの世界は主に人間が主体となって生きています。

いつしか人間以外のいきものは、じわりとその生活区域を狭められてきました。

なんとなくですが、それは人間が悪いのではなく、いきもの同士が生きるための争いをしているようにも感じます。「仕方のないこと」で表現できるものではありませんが、生きるためには皆必死だ、ということになるのだと思います。

 

 

 

 

ぼくが住む八雲町上八雲地域にもクマは出ます。

ぼく自身はまだふんしか見たことがなく、個体はまだ見ていません。

職員がトラクターなどに搭乗している際、よく見かけるそうです。

現状は被害が出ておらず、すみ分け(ようなものと勝手にしていますが)が出来ているのでクマ発見の話が来ても、役場や警察に届け出たりはしません。問題は実害が出てしまった時なのですが、やはりそれは起きて欲しくないと願っています。

 

 

これが仮に学生実習中に札幌市で起きたことのような出来事があったとしたらと考えますと、問題は一気に難しくなります。そうならないためにもこの場所で生活するためのルールは守っていますが、実際にその現場になってしまったとしたならば、駆除という展開が現実味を帯びていくのかもと考えています。

 

 

クマに限らず、今では市街地でもキツネやシカが見られるようになってきました。

そして人間はゴミのルールを守らない人が徐々に増え、たまに出没した動物の食料となり、えさ場と学習され、大なり小なりの混乱を引き起こすトリガーを作ってきてしまっています。今からでもというのは悠長かもしれませんが、クマとはどのようないきもので、どのような性格を持っているのかなど、個人レベルで学習する必要があります。そうでもしない限り、今後もこういった騒動で全国ニュースを沸かせることでしょう。

 

 

恐らく、こういった問題に正解はないと思います。

長い時間をかけて、試行錯誤していくしか今は仕方ないのではと思います。

 

 

今回の報道を機に、ぼく自身もいきものや自然との関わり方を学びなおしたいと思いました。あまりうまくまとめられませんでしたが、いち個人として思うところを書きました。この記事は今後加筆修正を行う場合があることを付記しておきます。