この場所にいれば
この場所で生きていけば
刻まれると思っていたんだ
本気でね
ただそれも時間の流れで
少しずつ霞んでゆく
あの一年間で集めたものが
霧の中へ消えていく感じがする
いつのまにか
両手には掌しか見えない
毎日が忙しければそれだけ
他のことには構っていられなくなる
声をかけていた相手も遠ざかり
スマホは段々静かになる
そしてただ電池だけが減ってゆく
存在というのは砂浜に刻んだ告白のようなもので
いろんな波が打ち寄せた時点で消されてしまう
そうやって残したと思っていた跡はなくなり
面影も声も遠ざかってゆく
深追いは更に跡を消していき
傷を深めていくだけだった
アイコンはずっと
既読だけを伝えていた