先日ですが。
このようなトークショーに行ってきました。
北海道八雲町は、「木彫り熊」発祥の地、と言われています。
八雲の木彫り熊、大きな特徴としては「魚をくわえていない」ところにあります。
実はお土産として広く流通している木彫り熊のほとんどは「魚をくわえている」もの。
それでも木彫り熊というのは当時としてはとても人気のあるお土産だったそうです。
(かつて実家にもありました)
八雲町では冬場における産業のひとつとして提案されたことがきっかけで、その後名だたる職人が芽を顕在化させます。現在号を遺した職人の作品は散り散りになっており、骨董品として高く取引される一方で貴重なコレクションとしてもその存在感は色褪せることなく示し続けています。この魅力に気づいた東京の方が当初個人的に追っていたものが思わぬ形で功を奏し、書籍の出版とともに地元にその魅力を伝える機会としてこのような場が設けられました。
八雲町にもこの木彫り熊が展示されている場所が幾つかあるのですが(飲食店なども含まれる)、再びこの木彫り熊に脚光を当てようという動きはなかなか強くなりません。講演会ではひとつの強みにしていくことが遺していくためにも大事なのでは、といった提案もありましたが、様々な側面から課題ばかりが積みあがっています。
この木彫り熊の場合ですと、木彫り熊を作成するという講座が開かれています。
これに対しての門戸を広くしてはという提案がされたのと、再びお土産品として確立させてみてはどうかという意見が出ました。
ただそうなりますと、やはり「経済(資金)」の話になってきます。
まずは職人の育成にかかる費用、そして普及のための事業費用です。
その活動はいいね!とはなっても、活動資金はどこから?となりますと、途端に尻すぼみしてしまうのが実際のところ。やりたくてもやれない、というのが、切実なところなのではないでしょうか。だから現代においてはCF(クラウドファンディング)をはじめとした資金を集める方法に注目が集まっています。
哀しいですが、お金こそ力。お金こそ正義と言われているような気がしてなりません。
しかし、この世界はお金というエネルギーで動いていることも事実です。
いかに「それ」が魅力的かつ有効性が高いものであったとしても、これで生活が出来るとか、経済が回るというレベルにまで達しなければ、夢と希望で終わってしまいます。
ただそうならないための前段階として、お金に左右されない活動を継続していくことは重要です。そういった「合理的な部分での判断によらない」分野での活動は、後日経済活動に回帰して実を結ぶというケースがいくつもあります。その流れを期待して、ではありませんが、努力して引き上げていくことが求められます。
八雲町に移住した当初、八雲町の郷土資料館や木彫り熊資館に行った際、ひとつの特色を感じたことは事実で、それをひっそりとさせておくのは勿体ないとは思っていました。余裕のあるなし、という話にはなりますけども、経済ばかりを追い求めるのではなく、何かを楽しむことが出来る部分もあっていいんじゃないかと。
木彫り熊の世界、実は結構奥が深いです。
時間が経つにつれて明るみに出てくる部分があることを考えますと、楽しみな分野であることは間違いないと感じた1日でした。