【詩】融けよ積もれよ
あれだけ世界を包んでいた雪は
気温という見えないモノにいともかんたんに左右されて
ここまで融けていった
寒さ暖かさにゆられながら
大気にある水分はその身の姿を自由に変えていく
流れることもできれば
積もることもできる
そして融け
ついには蒸発しその身を消す
なんと自在で
なんと柔軟なのだろうか
人間は頑なで不器用にもかかわらず
さもできることを吹聴してしまう
それでいいと思っているのだから
仕方ないのかもしれない
Hello、Hello、Hello
気軽にキミは声をかけてくれる
わたしが勝手に積み上げてきた自己嫌悪の雪山をかんたんに飛び越えて
積もれよと思っていたのは
あなたのカタチを目にしない様にしたかったから
それでも融けよ、と願っていたのは
互いの声や気持ちが
雪解け水が大地に染みわたるように
春を呼んで欲しいと願っていたのだと
最初から冬だったというのに
まだ見ぬ景色を空に見ている