消えろ
消えろ消えろ
消えろ消えろ消えろ
その短い言葉は数珠つなぎになり
やがて自分までも消し込んでいく
攻撃的な直球は
嘘をつくテレビの向こうの偉い人に向けられ
望まない疾病を抱えた社会的弱者に容赦なく向けられ
あるはずの商品がないことに対しその勤めを果たしていないと疑いを向け
いのちを守るインフラにも関わらず最前線と化した場所と人を忌み嫌う
自分は弱者だ
救え救えと
自分を危険に晒す存在は離れろ消えろと
半狂乱の状態で喚き叫ぶ
それは春の鳥のさえずりを掻き消し
夜の静寂を破っていく
有形無形の話に流されては
あらゆることに加担していつしか正義を自称していく
そうやって自分が決めつけた悪者を匿名の世界で退治し
秩序を保たんと感情を烈火させる
自分だけは安全な場所で
そして指先ひとつで
その笑みには最早本来の効力は含まれない
それはもう呪いに等しい
消えろ消えろとの大号令で
合理化の音が生み出される
その音が鳴りやむ頃には
もう誰もいなくなっているかもしれない
消えろと叫んだ人は最期まで見る
自分が最後のひとりになるところを