「透明人間」はひとつの憧れであったように思います。
はい。考えていることのレベルが低いですね (笑)
ただ今回読んだこちらのお話、よく考えられており、透明人間になってしまうことの「苦しさ」を見せつけられました。
ボクハ・ココニ・イマス 消失刑 梶尾真治:著 光文社 八雲町立図書館蔵
「刑」とあるように、罰則として一定期間の「消失」が課せられるというもので、物語の主人公は「懲役」か「消失」かで迷い、「消失」を選択します。
ただこの消失刑、物語ではまだ試作段階の刑とういことで、刑期がある程度短くなるという特典(ではないけれど)がついてきます。実際主人公は刑期が短くなる、その間我慢すればいいということでこちらを選びます。
この「消失刑」は、ある程度の自由が与えられます。が、他者とのコミュニケーションを禁じられてしまいます。そして重要なのは、「消失刑」は、相手からは「消えたように見える」という状態であること。つまりは、「自分を通り抜けていく」ものではないということになります。
作中では、実際との違いに気づかぬまま悲惨な結果を自ら招く受刑者が多数出てきます。そんな恐怖に怯えて暮らすというのは、いくら「いや、ひとりでいるの好きだし」と呟く人でも、かなり厳しいのではと感じました。自分なら嫌ですね。
物語はただただ刑に耐える姿を描くだけではなく、いくつかのイベントを用意していました。これまた主人公が結構外出します。もう自業自得のレベルに近いです。その様子は病的な症状に近いものを感じます。普段であれば至って普通のことなのですが。
帯には「究極の孤独」とありました。
孤独にはなりたくないなと思った作品でした。