気がつけば同じところを見たまま夜を迎えていた
止まない雨
どこまでも続く雲
鳥肌が立つ空気
思考が停止した手足が杭のように打ち込まれ
ただずっとその場に佇む
何も考えることが出来ずに
明日のことも浮かばずに
誰かが力強く
重たくなってしまった身体を促す
他の誰かがとても熱く
冷めてしまった心を介抱する
なぜだろう
どうしてだろう
同じ世界にいるのに
変わり果てた世界にいるはずなのに
知らずに過ぎていく時は意外とあっという間で
時に刹那さえも無限に感じてしまう
その彼方は何も保証されず
広い牢獄に繋がれているかのよう
命ひとつ手にしていたとしても
素直には中々なれない
気がつけば夜になっていた
雲はいつしか消え去って
無数の灯りが散らばる幕が広がっていた
なにも浮かばない夜に
確かに何かが植え付けられた