1983年の刊行ですが、事実を元にした小説となっています。
主人公となる佐久間はもちろん実在の人物名ではないのですが、この佐久間の生きざまといいますか、為人に引き込まれる作品でした。
帯には、4つの刑務所を脱獄とあります。
それだけのことを起こしながらも、最後は刑期を全うし、出所しています。
昭和20年前後の話のため、背景には戦争があると言わざるを得ません。
そうは思いつつも、刑務官と佐久間とのやりとりや駆け引きに息をのみます。
昨今でも移送中に脱け出すという事例は耳にしますが、こちらのケースはスケールが違いすぎます。
舞台が東北、そして北海道になっているため、そして網走監獄がひとつの舞台として出ているため、何となくゴールデンカムイを想像してしまいました。
はじめて触れる作家さんでしたが、とても引き込まれる作品でした。