つたわりとどけ。

日常と非日常のはざまから、伝え、届けたいことを個人で探求し、実践します。

令和2年7月の読書感想文① 破獄 吉村昭:著 岩波書店

1983年の刊行ですが、事実を元にした小説となっています。

 

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破獄 吉村昭:著 岩波書店 八雲町立図書館蔵

 

 主人公となる佐久間はもちろん実在の人物名ではないのですが、この佐久間の生きざまといいますか、為人に引き込まれる作品でした。

 

帯には、4つの刑務所を脱獄とあります。

それだけのことを起こしながらも、最後は刑期を全うし、出所しています。

 

昭和20年前後の話のため、背景には戦争があると言わざるを得ません。

そうは思いつつも、刑務官と佐久間とのやりとりや駆け引きに息をのみます。

昨今でも移送中に脱け出すという事例は耳にしますが、こちらのケースはスケールが違いすぎます。

 

舞台が東北、そして北海道になっているため、そして網走監獄がひとつの舞台として出ているため、何となくゴールデンカムイを想像してしまいました。

 

はじめて触れる作家さんでしたが、とても引き込まれる作品でした。