もうこれで最後だろうというとき
人は相手に優しめのことばをかける
ふと
そんなに優しくなれるものなのだろうかと思った
内心はもう顔も見たくないはずなのに
声も聴きたくないはずなのに
お互いの心情の事実を知らずに
別れの時だけが結実してゆく
望んで罪を犯すものもいれば
どうしてもその道を歩んでしまうものもいる
しかし客観者はこぞってその両方を責める
そのときほど清廉潔白さを強調する滑稽さだけが際立つ
だがその人たちは考えたことはないのだろうか
どうしてなのだろうという疑問を
そんなことも知らずに
声をあげるのは誰にでもできる
決して勇気ある行動でもなんでもない
お互い様なのだけれど
声をかけておきながら結局なにもなかったことが幾度かある
プライベートでも仕事でも
許してもらえることもあれば
信用を墜とすことにもつながる
待っている人の心情を見たことがあるのだろうか
SNSやメールでは見えない表情を想像したことがあるだろうか
それでも人は日々自分の満足のためだけに動く
そんなことも知らずに
ふと
消えたいと思うことがある
どこにいても
どこにいっても
変わらない孤独感がある
それを拭い去るものはなんなのだろうか
そんなことも知らずに
わたしはどこかで絶望している