つたわりとどけ。

日常と非日常のはざまから、伝え、届けたいことを個人で探求し、実践します。このたび不定期更新に切り替えました。

令和3年1月の読書感想文⑧ オルタネート 加藤シゲアキ:著 新潮社

何かと話題になっています本が図書館で目に留まりましたので読んでみることにしました。

 

加藤シゲアキさんの著書を読むのは、今回が初めてです。

 

 

 

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オルタネート 加藤シゲアキ:著 新潮社 八雲町立図書館蔵

 

 

数々の賞にノミネートされており、新聞などでも紹介されているため、かんたんに感想を書いていこうと思います。

 

オルタネートというのはどうやらアプリを指すようで、主人公の世代では必須のツールであるようです。これが過去になりますと、ポケベル(ポケットベル)やガラケーなどになるのかなと思いながら読んでいました。

 

主人公やその周りにいる登場人物の心情も深く描かれており、とても豊かさを感じました。ちなみに本の暑さはそこそこだと思うのですが、その厚さを超えるページ量になっています。短すぎず長すぎず、じっくり読むことが出来る作品だと思います。

 

読み進めていて不思議な感覚に捉われました。

おおよそなのですが、ラスト100ページあたりから、「風」が吹きます。

その風には不思議と匂いがついていました。

自分としてはまさしくそこに「青春」を感じ取ったのだと思います。

自分の学生時代はお世辞でもいいものではありませんでしたが、こういった心情を抱えてみたかったなという、その世代を過ぎ去ったからこそ持つことのできる希望を見ていました。

 

 

そして、ラストの三行に感動しました。

とても清々しく、そして瑞々しい。

このような世界が、この作品以外に広がって欲しいと感じながら読了しました。