何気に購読している雑誌のページを捲ってみると
そこにランキングが表示されていた
どのようなランキングだったかは忘れたけれど
1位に輝いていた本のタイトルを見て目を疑った
いくらなんでもそれはないと思う
中間テストや期末テストの学年順位や
競技などの成績
自身の業績の社内における評価
自分が創った作品の受賞
ずっとずっと前から
順位や順番はそこにあって
何かを基準にして人間が並べられていく
それは紛れもなく血とか汗とか涙とかそのほか諸々の結晶であったはずなんだけど
順位というか
いつのまにかいちばんは勲章から落ちてしまってた
一位や一番は肩書としては最高でモーレツにクールなんだけど
なんだか最近はそれを仕込むことがクレバーになってきている
そうなってしまうとクールになるどころか冷めてしまう
そうして群衆は覚めていく
ひとりの熱狂者だけを遺していく
この世界に限らず
常にどこかで一番は買われている
純粋な努力を消耗だと吐き捨てるように
汗を流さぬ方法で表彰台にのぼっていく
そんな風にして世間は造られているのに
紙面は単純に事実のみを伝えている
日々緊迫している世界情勢の報道の隣で
些細なことが今日も起きている
それがやりきれなくて堪らない
もういちど
もういちどだけいちばんになりたかった
しかしこんな世の中では
それは叶えられるのだろうか
堕ちてしまった勲章の汚れを拭い去るのは僕じゃないはずなのに