【詩】髪を切る日は
3か月ぶりに髪を切った
このご時世いくつかの懸念を持っていると
髪を切ることに対しても慎重になっていた
日差しが増え気温も高くなり春の匂いが香り始めた頃に
髪を切りに出かけた
髪の毛は雑に伸びていて
乾燥などで常にくせ毛
まとまりのない髪形で日常を送っていた
髪の毛が伸びていくにつれ
何かがどんどんと重くなる実感があった
それが何なのかはわからないけれど
その髪をバッサリ切ってもらった
はさみとバリカン
まるで何かを脱ぐように
新しい髪形が少しずつ現れてきた
自分の顔には地表に落ちずにくっついた髪の毛
黒のほかに白もちらほら
年齢を感じながら
髪を短くしてもらった
時期柄髪を切る人は多いらしい
人は何かの節目にこそ髪を切らなきゃと思っているのかもしれない
かかってきた電話の会話を聞いていると
どうやらここ数日は予約でいっぱいのようだ
そこに普通の日常があることにどこかほっとする
こんな世の中だけれど
髪を切りたいと思うことは素敵なことなんじゃないかと思う
座っていた椅子の周りには
ついさっきまで纏っていた髪の毛たち
きょう僕は脱皮して
新たな時間を送ってゆく