つたわりとどけ。

日常と非日常のはざまから、伝え、届けたいことを個人で探求し、実践します。

令和3年5月の読書感想文⑦ 銀河英雄伝説列伝1 晴れあがる銀河 田中芳樹:監修 創元SF文庫

何ともうれしい作品が刊行されていました。

 

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銀河英雄伝説列伝1 晴れあがる銀河 田中芳樹:監修 創元SF文庫 個人蔵

 

あの「銀英伝」に新作が登場したのです。

 

 

完結したであろう作品の新作がまた読める・・・!

このときの感動ったらもうとんでもないです。

 

こちらのシリーズは「トリビュート・アンソロジー」となっており、銀英伝を愛してやまない作家陣にて、それぞれのお話が紡がれております。

 

本作はまさしくその1作目であることがうれしいです。

そして、タイトルにも「1」が入っているということは、続編を構想しているという理解です。

 

 

さて作家陣ですが(50音順)、

 

石持浅海

太田忠司

小川一水

小前亮

高島雄哉

藤井太洋

 

となっております。そうそうたる顔ぶれですね。

ということで、この本は6つのお話で構成されております。

 

 

読んでいて何よりうれしかったのは、銀英伝のキャラクターが自分の脳内で「動く」ということでした。たとえばラインハルトさまの言葉やヤン提督の言葉など、実際に話しているように聞こえ、そして読めてしまいます。改めて感じましたが、自分がこれほどまでにこの作品を好きなのだということが、この作品を通してわかりました。本当にありがとうございますという気持ちでいっぱいです。

 

個人の感想として、銀英伝は現代にも通じる話だと感じています(戦争は抜きにして)。

そこには作者の意地悪もあったかもしれませんが、それが現実の本質を痛烈に貫いています。この世に銀英伝の登場人物がいたならと考えてしまうほどです。そういった、多くの人の思想を動かしたであろう偉大な作品が再び動き出すということは、新しい読者の獲得や古参の読者の激励にもつながります。その影響がこれからの世界をどう動かしていくのか、決して見える部分ではありませんが、そこが少し楽しみです。

 

ことあるごとに正伝・外伝を読み返そうと考えていましたが、これまでに実現せず。

今年こそは、銀河の歴史に触れなおし、ページをまた1枚ずつめくりたいと思います。