【詩】搔き分けることは尊く
前に進もうとしても
目の前の障害物が行く手を阻んでちっとも進まないことがある
どうにかして足を上げて歩みを進めようとも
その足元にある伸びた笹や木の枝などが絡みついては歩みを止めようとする
文字通り手でも足でも掻き分けながらその日の目的地へ向かう
どうしたってそうしなければたどり着けないことはある
でも世間ではどこかで
それが消耗だとか浪費だとかと評している声がある
そりゃそう見えるだろう
その人たちはその光景を見ているだけで言っているんだから
掻き分ける人の気持ちになって言っているわけじゃない
だから通じ合うものだとかわかりあえるものはその時には残念だけれどない
あくせくして働くことは何も無意味なことじゃない
足掻くことは生きていくことにおいてあるべきことだと願っている
そうしなければ誰もが脱却を目指すだろう
細い蜘蛛の糸に大挙して押し寄せ
糸の先にある栄光ばかりを見てしまう
それはまるで中毒者のようにしか見えないのはなぜだろうか
今日もどこかで
こんなところに誰が来るんだろうと思うようなところで働いている人がいる
その仕事を終えるために掻き分けていく人たちがいる
そんな人たちがいるからこそ
わたしたちがいる
見えないものを見ようとするのは難しく
また妄想に頼りがちになってしまうけれど
この世界は何で出来ているかを少しでも考えてみてほしい
牛だって時には人に助けられる
人だって牛に助けられているのだから