令和3年10月の読書感想文① ファイティング寿限無(じゅげむ) 立川談四楼:著 祥伝社文庫
小説を読んで、「面白い!」と思わせてくれる瞬間が好きです。
いわた書店による選書ですが、面白い一冊に出逢いました。
ファイティング寿限無(じゅげむ) 立川談四楼:著 祥伝社文庫 個人蔵
北海道砂川市いわた書店の一万円選書にて選書さる
作家さんがまさかの落語家。
その噺家(落語家)さんが書いた小説になるのですが、これまた面白い。
主人公も落語家なのですが、師匠から(落語以外の何か)を身に着けることを勧められ、とあるきっかけからボクシングを始めます。
いざトレーニングを始めてみると、これがまた(本業の)落語よりも筋がよく、ほどなくしてプロデビュー。落語家とボクサーの二刀流は単なる飾りではないことを証明してしまいます。その後勝ち星も増えていくのですが、落語との両立に悩みます。
最後はハッピーエンドになるのですが、ボクシングの描写も、落語の描写もよく見えてきます。それでいて面白い。のめり込みます。それはこの主人公の性格にあるのではと思いました。浮いた(ような)話はぽろっと出てくるのですが、その展開も主人公らしさをうかがわせます。ひとつの道を進もうとする人とは、このような背中をしているのだなぁと憧れます。
今シーズンはメジャーリーグで大谷選手が二刀流で世間を沸かせてくれました。
しかし、二刀流で何かを成し遂げようとしている人は、この世にたくさんいると思います。たくさんいらっしゃるであろう、様々な分野での二刀流を目指す人に読んでもらいたい一冊かなと思いました。