令和3年11月の読書感想文③ 羊飼いの暮らし イギリス湖水地方の四季 ジェイムズ・リーバンクス:著 濱野大道:訳 ハヤカワノンフィクション文庫
分厚い本で、読み応えとともに厳しさを感じた一冊です。
羊飼いの暮らし イギリス湖水地方の四季
ジェイムズ・リーバンクス:著 濱野大道:訳 ハヤカワノンフィクション文庫
北海道砂川市「いわた書店」の一万円選書にて選書
とある一家の歴史と四季を辿りながら、羊飼いの理想と現実、自然の驚異と恵みを飾り気のない言葉で綴られています。読んでいて、あまりの厳しさに読むスピードが遅くなってしまうことも。本来はそれくらいの厳しさがあるのだなと教えてくれます。
厳しさは自然の厳しさ、人間の厳しさとあるように思います。
その逆で恩恵もまた、自然の恩恵と人間の恩恵があります。
本書はそれらの繰り返しをまざまざと見せつけて、「なんて大変なことなんだ」という大まかな感想を抱かせます。決してノリで羊飼いはできないと感じます。その反面、自然の豊かさの多くをこの本で知ることができ、やはり大自然がある場所での生活はいいものだなぁと思わせてくれます。サバイバルにも感じますが、その生活が本来の姿なのではないかと思うわけです。
現代ではパソコンを前にして日々お金を稼ぐ、または稼ごうとする人がいますが、その人たちも日々の厳しさにさらされていると思います。決して楽な道はなく、それを楽しさと捉えることができるかどうかだと、自分自身では思っています。だから、楽して稼ぐことをモットーとしたり、喧伝している人たちに対しては信用を置いていません。どのようにして自分の1か月以上のお金を稼いでいたとしても、尊いとも思いません。愚直ではありますが、自然の中で悪戦苦闘して稼ぐほうが、よほどいいと自分は思います。昨今第1次産業へ入ってくる人たちが増えていると新聞報道にありました。楽して稼ぐ方法があるのに、です(そのように喧伝しているからという意味で)。
お金を稼ぐことと、生業はまた別である。
そのようなことを感じさせてくれる、厳しくも暖かい本でした。
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