楽園のカンヴァスという作品を読んだことで、絵画(アート)小説を読みたいと思って購入しました。(楽園のカンヴァスはいわた書店の一万円選書で読んでいます)
6篇からなる短編集なのですが、アートに関する内容もさることながら、そこに付随するドラマがなんとも味わい深いです。まるで絵画を鑑賞しているときの、感情のさざ波がじわりとこの身にかぶさってくるようです。非日常ではない、どこかにあるような日常を綴らせることで、アートへの親近感が湧いてきます。帯は上白石萌音さんですが、美術館に足を運びたくなるコメントを寄せられています。
個人的には、最後に収められている「道」がよかったです。特急の車内で泣きました。
ここに描かれているお話は、絵画に込められている何かしらの情熱が顕在化したようなものなのかなと感じています。また改めて読みたい一冊です。