令和4年6月の読書感想文⑪ La Lluvia Amarilla(黄色い雨) フリオ・リャマサーレス:著 木村榮一:訳 河出文庫
詩人であり小説家でもあるスペイン出身の作家による注目作となります。
La Lluvia Amarilla(黄色い雨) フリオ・リャマサーレス:著 木村榮一:訳 河出文庫
個人蔵
たぶん読もうとしたきっかけは、この著者が詩人であることだと思います。
ただ読み進めていくと、なんとも暗く重い印象を受けます。
スペインの山奥の廃村における、終わりへの物語。
そこには詩でありながらも希望ではなく、ただただの悲しみと虚しさが漂いつつも、そこから見えてくるひとすじの美しさが垣間見えます。
こんな文章を書けるというのはすごいと思っていて、「残さなければ」といった強い何かがなければ書くことは難しいのではと感じています。
本書は主題の長篇のほかに短篇2篇を収録。
鎮魂歌が物語を紡いだという印象が残りました。