つたわりとどけ。

日常と非日常のはざまから、伝え、届けたいことを個人で探求し、実践します。

令和4年9月の読書感想文⑩ いざ志願!おひとりさま自衛隊 岡田真理:著 文春文庫

文庫版の刊行から9年が経過していますが、今だからこそ(いつの時代も)読むべき本なのではと感じました。

 

 

いざ志願!おひとりさま自衛隊 岡田真理:著 文春文庫 個人蔵

 

本書の存在は刊行時に知ったのですが、今日に至るまで読む機会は訪れませんでした。

 

本書は「予備自衛官」という制度を利用し、ひとりの女性(一般市民)が訓練を重ね、予備自衛官にまで成長(正しくないかもしれないが、昇任)していく姿を綴ったものになります。

 

自衛官自衛隊)に関する情報といいますか、知識は、一般人であればかなり少ないのではないかと思います。年に1回お祭りのようなイベントがあったり、演習のニュースが流れてはそれに反対するデモが起きたり、被災地派遣の話があったかと思えば海外派遣の要請があったり。自衛隊の立ち位置に疑問をぶつける人もいれば、その存在に感謝している人もいる、というのが現状です。この膠着状態は、ずっと続いています。

 

中身を読むと、大まかに訓練の内容とともに、訓練中の生活について触れています。

およそ理解に苦しむ習慣にも触れており、独特の世界、不思議な空間だなと感じます。

その一方で、ここで仕事をし、生活している人たちは、わたしたちと同じ人間なんだというものが改めて思いました。

 

人によっては、「同じ人間のやることか!」と罵声を浴びせる人もいますが、事情はどうであれ、やってはいけないことだと思います。自衛隊の機能(能力)は消防や警察でも十分に賄えると主張する人たちもいらっしゃいますが、そういう人たちの主張は「公務員は税金ドロボー」(個人的見解)だと思うので、統合させたとしても、結局は同じことを言うでしょう。

 

「公務員に合理化を求めてはいけません」。

 

公務員と一般企業で働く会社員さんとは、大きな違いがあります。

公務員さんの目指すものは、公益です。その大きな任務を前に、専従させたほうがいいのではないか?というのが、個人的に思うところです。いまは一般企業もお役所関係も、予算の近い道に関してはかなりシビアになりましたが、どこかで「切り詰める」ことを手放した施策を取らないと、取り返しのつかない事態を招くと思います。

 

公務員も会社員も、辞めた後では戻ることが出来ません。

いまある制度、仕組みは、必要だから存在しているものと感じます。必要がなくなれば、それは自然になくなっていくものではないでしょうか。この本は自衛隊予備自衛官についてのいろは的なものを教えてくれる良本と感じます。語弊がありますが、距離が縮まります。ここからでも、自衛隊予備自衛官について、純粋に知っておくことも、悪くないことだと思います。