つたわりとどけ。

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令和4年9月の読書感想文⑪ 宇宙(そら)へ(上下) メアリ・ロビネット・コワル:著 酒井昭信:訳 ハヤカワ文庫

海外の文学賞を受賞している注目作で、上下巻ということもあり、たっぷり時間をかけて読めるなと思っていました。

 

 

宇宙(そら)へ(上下) メアリ・ロビネット・コワル:著 酒井昭信:訳

ハヤカワ文庫 個人蔵

 

 

SF小説で海外小説になるのですが、海外の文学賞3つの賞を受賞しているというつわものです。

 

話の概略としては、1952年に隕石が突如落下したことを発端とし、宇宙開発という「生き残り」策が現実味を帯びてくるというもの。時代設定は今から70年前になりますが、if設定として「宇宙開発計画が発足・進んでいたら」を設け、話をまとめたそうです。

女性活躍の場が何と宇宙開発計画にも出てくるというのは、当時あったとしても考えられないことなのですが、そういったことも含めた「if」が盛り込まれており、大いなる熱気を感じます。

 

そしてこの小説、海外小説に感じる(ぼくだけかもしれないが)「ある一種の読みにくさ」を感じさせません。そこは訳者との相性が(読者との)良いのかもしれませんが、この読みやすさのお陰で面白く、そして興奮しつつ読み終えることが出来ました。

 

読んで損はない作品です。宇宙に向けたまなざしを、ifというかたちで捉えた作品ではありますが、決して現実離れはしていません。それくらいのリアリティとクォリティがあるので、宇宙に思いを馳せるにはぴったりかと思います。