令和4年10月の読書感想文⑥ 銀の匙 Silver Spoon(全15巻) 荒川弘:著 小学館
7月に札幌市で開催されていました「銀の匙展」に行ってきた影響で、既に持っていたコミックスを読み返してみました。
銀の匙 Silver Spoon(全15巻) 荒川弘:著 小学館 個人蔵
※写真には別に「青春マニュアル」も入っております。
銀の匙展に行った時の(買い物も含めた)お話はこちら
テレビアニメや実写映画化もされた作品で、作者の実家が酪農(だったと思う)をされていた経験があり、このような作品が生まれたとのことです(似たような作品では百姓貴族という作品があります)。
主人公は進学校(中学)から農業高校へと「逃げるようにして進学」してきた子になります。当時の主人公の想いとしては、実家(札幌と想定)から遠く離れて暮らしたかった(寮がある学校への進学)というものがありました。しかし実際に飛び込んだ世界は、その子(八軒勇吾)にとって新鮮ではなく、驚嘆の連続でした。
随分前に通読しましたが、展示の後に改めて読みなおしました。
結構忘れていたり、あやふやなところもあって、結果再確認という感じになりました。
昨今ではいきものを相手にした仕事をはじめとして、その成果物に対してあからさまに嫌悪感を示す人たちが増えていますが、果たしてそれは正解なのだろうかという「問い」が、わたし個人の中では生まれています。
作中ではいきものの世話をするとはどういうことか、というのがある程度徹底的に描かれています。テレビなどではあまりお目にかかることのない、いわば「きつい」部分です。牧歌的ではあると思いますが、のんびりというのはほんのひとときだと思います。
そんなギャップを感じながら、八軒は人間味を得ていきます。
それは周りの生徒や先生、そして学校の環境がひとりの人間の笑顔を引き出したともいえます。責任ある立場にもつき、コントロールを失い、他人の勉強の面倒を見ては、恋に走る。マンガの世界ではありますが、とても人間らしいじゃないかと感じました。だからこそ、胸に刺さるシーンが幾つもあったのだと思います。
この作品を褒める人やけなす人、いろいろいると思います。
しかしながらこの本は、ひとつの参考図書になると思います。
ただ本の中で描かれていることばかりが「実際の」ことではありません。
最終的には自身の経験を以て、補完していくべきだと感じます。