つたわりとどけ。

日常と非日常のはざまから、伝え、届けたいことを個人で探求し、実践します。このたび不定期更新に切り替えました。

令和5年4月の読書感想文⑨ 事故物件いかがですか? 原田ひ香:著 集英社文庫

正式タイトルは「事故物件いかがですか? 東京ロンダリング」。

ん?と思い、少し調べてみたところ、東京ロンダリングの続編になるようです。

 

maruyamabase.hatenablog.jp

 

事故物件いかがですか? 原田ひ香:著 集英社文庫 個人蔵

 

前作とは異なり、8つの物語(主人公)で編成された短篇集のようなものになっています。そして本作では「ロンダリング」に関する、やや深い「さぐり」が入りますが、思いもしない展開が待っています。お話のコンセプトもさることながら、お話の持ってきかたが素晴らしく、買って正解だったと思っています。原田さんの作品は他にもありますがまだ読んでいません。読んで間違いなしの作家さんだと思います。

 

都会でありそうな事象を基に物語を紡ぐのは、一種のファンタジーだと感じています。しかしそこに現実味がある以上、それは、どこかで実際に行われているのではないかという真実味を帯びます。この作品に綴られていることは、決して表には出ないものでしょう。だからこそ、こんなビジネスがあるのかなと思うと、人間の何たるかを思い知らされる、暗く深い作品だなとも感じるようになりました。