5年住んだ家を離れるとき 涙が溢れて止まらなかった
理由なんてわからない ただただ感謝としか言えなかった
その家から今日 家財道具が運び出された
再生の5年間を詰めたトラックが これから走りだそうとしている
あの家で過ごした時間は ひとことでは言い表せない
どれほど突き落とされ どれほど浮かび上がってきたことだろうか
あの家がなければ 到底叶わなかった
きっとあの家には 何かがいたような気がする
意識の変化とともに 家の中が変わっていった
その変化を経験するのは 初めてだった
家の中もまた 自然の一部なのだと知った
わたしも 自然の一部なのだと悟った
母親のような 父親のような 惚れた女性や かけがえのない友人・知人のような
ありとあらゆる愛情を注いでもらったような気がする
すべてを置いていくわけではなく すべてを捨ててくるわけではなく
すべてを忘れるわけではなく すべてを忘れないわけではなく
引き出しを上手に使いながら あのときの気持ちをガソリンにして
ギアをトップに入れ アクセルをベタ踏みにし
新しい家から 伝わり 届けていけたらどれほどいいだろうか
背中を押してもらいながらも
手を繋ぎ 引っ張ってもらいながらも
進んでいきたい
ただただ 進んでいきたい