異色に感じたノンフィクション、としか言えないです。語彙力がないことが悔やまれます。
著者が海外でがんになり(見つかり)、コロナ渦の中悪戦苦闘しながら治療を受けつつ過ごしていく様を描いたノンフィクションになります。
読んでいて、不思議に「迫る」ものがありました。
自分はがんに罹ったことはないのですが、疑似体験に近いことをこの本を通して感じることが出来た気がします。加えて新型コロナによってカナダでも日常は混乱に陥り、海外での生活に慣れ切れていない著者はかなりストレスに感じたこともひしひしと伝わってきます。よく海外の〇〇は日本より進んでいる!と自国をディスる人たちが散見されますが、「ではほかの分野ではどうなの?」と素朴な疑問を投げかけたいです。日本でも誇れるものがあれば、これは・・・と思うものがあるように、海外でも同じようなバランスを持ったものがあると思います。どれかひとつをとってああだこうだと評するのは、何かを陥れる常套句でしかありません。話が脱線してしまいましたが、日本とは違う医療体制にかなり神経を消耗させた著者は、精神的に追い詰められていくことになります。
それを救ったのは、カナダに住む先輩日本人でした。やはりわかるのとわからないのとでは大きな違いが生まれます。病気治療中は孤独になりがちですが、この本を通していいなと思ったのは、治療という行為を通してではあるが、独りにならなかったことです。他者の存在はときにどん底に突き落とされることもありますが、救われる、軽減してくれることもあるのだということです。
最後のページまで読んで、なんとなくですが、この本はブレイディみかこさんの本に似ているかも、と思いました。根拠はないです。だけど、この本は多くの人に読んでもらいたいなと思わせる本でした。