午後に出勤したら、手がかじかむほど寒かった
吐く息も白く
風に乗って白い結晶が目の前を通り過ぎて行った
面倒な外勤を早めに済ませる
そこからはほぼデスクワークだ
何かを残さなきゃと思いながら過ごしてきたけど
まだ頭の外へは生まれていない
この時間を慈しみ
この時間を愛おしんでいた
唯一無二のこの時間を
凝縮された世界の中心を
ゴミ箱に捨てられたゴミを片づけ
洗い物を済ませ
溜まったゴミを役場に持っていって
若干の私用も済ませてきた
きょうは曇りの天気だ
明日はどうなるだろうか
明日の準備をする
自分だけがなんだか特別な時間を過ごしているように思えるが
周りからしたら普通の1日だ
そこに隔てるものは何もないが
この先徐々に歩いていく方向が異なるだけのこと
電化製品のコードを抜いて
きょうの売り上げを数える
釣銭も確認して
店内に暗闇を呼んでくる
これまでは「また明日」と言っていたけれど
きょうは「ありがとう」とことばを変えよう
そして車で役場に戻る
カギを戻し あたりを見回し
この1年を思い返す
そして深々と一礼するのだ
誰かがいても 誰もいなくとも
それが この土地への礼儀だと思う
今週はずっと
役場から自宅までの道のりを歩いて帰った
冬場や雨のときなどはそうしなかったが
今回はどんな天気でもその光景を目に焼き付けたかった
ずっと通い続けてきた道を
自問自答を繰り返してきた道を
想いを馳せ続けてきた道を
散々迷惑をかけてきた
これまでずっとだ
最後の最後まで
それすらをも迎え入れてくれたことに
最敬礼するのみだ
今日という日は終わる
明日からまた今日という日は始まる
ネームを外して外に出る
それもまた 楽しみでしかないのだ