つたわりとどけ。

日常と非日常のはざまから、伝え、届けたいことを個人で探求し、実践します。

【詩】不通の世界

固定電話が鳴らない

 

携帯電話だって鳴らない

 

そんな場所が本当にあるんですかと誰かが問う

 

 

固定電話はなくても

 

携帯電話がつながらないというのはそうそうない

 

でも実際にはある

 

 

見えない信号が届いていない場所なんてごろごろさ

 

 

 

 

 

何も届かないことを知ると

 

何故か自由を得たような感覚になる

 

誰からの連絡を受け取ることが出来ないのは考えてみると大変なのだけれども

 

束の間の静寂は苛立つ月末には必要なものだった

 

よく耳を澄ませていると

 

蜜蜂が花から花へと渡り歩く音や

 

牛の親子が話している声

 

川から水がじゃぶじゃぶ流れている音など

 

機械的な音など一切聞こえていなくなっていた

 

 

 

これこそが本来の世界だと確信した

 

 

 

 

メールやSNSのコメントやら既読も未読も気にしない

着信履歴やファックスの確認なんかも無視

見えないものにつながっている状態から切り離して

身ひとつで今いる場所を闊歩したい

 

 

 

 

何かに繋がっている日常で

何にも繋がっていない瞬間を求めながら

何かからの反応を待ってしまっている自分がいる

 

電気が流れている高圧線の下で

鉄塔越しに真昼の月シロツメクサの草原を眺めていた