つたわりとどけ。

日常と非日常のはざまから、伝え、届けたいことを個人で探求し、実践します。このたび不定期更新に切り替えました。

架空請求詐欺のメールが出しているシグナル。

すっかり忘れてしまっていたのですが、先月のことです。

 

 

 

みなさんは普段、ケータイの「ショートメール」機能を使っていらっしゃるでしょうか?

 

ショートメールとは、送り先の住所をメールアドレス(これはWebメールという送信方法)ではなく、相手の電話番号宛にして簡単な文章を送信するという機能です。長文が可能なメールと違い、字数に制限がかかります。その文字数50文字。そのため、大まかな要件しか伝えることが出来ません。

 

ぼくの使用頻度というと、相手からショートメールを送信してくるというのが意外に多いことが判明。確かに相手の電話番号は知っていても、メールアドレスは知らないという人も少なからずいるのです。そうなると簡潔的な連絡に関しては、ショートメールでもじゅうぶん、ということになります。あと、何故か母親がショートメール使います。こっちのメアド知ってるのに(笑)

 

 

 

ショートメールは普段メルマガなどが配信されないぶん、使用頻度は格段に低くなります。そのため、使い慣れていない人が多いのではないでしょうか。

 

 

 

そんなショートメールですが、先日こんなメッセージが届きました。

 

 

 

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読者のみなさんは、この文章を読んでどう思われたでしょうか?

 

 

 

このショートメールは実際にある会社を名乗り、相談窓口の電話番号を記載し、連絡してくるようにと促しています。

 

察しのいいかたは既に気がつかれていると思いますが、これはれっきとした

架空請求詐欺」のひとつの手口です。

 

 

 

架空請求詐欺というのは、実際には利用していないサービスに対し犯行側が「サービス利用に対する料金の未払い分がある」と通知。その未払い費用と利息を含めた合計金額を支払うようにと促してくるものです。

 

この手口の方法は、最初は「はがき」で行われていました。

その後Webメール、そして今はショートメールへと幅を広げているようです。

 

この手口に対して何をするべきだと考えていらっしゃいますか?

正解は「何もしないこと」。

相手がどのようなことを通知していようが、身に覚えがなければ「放置」で問題ありません。

 

しかし、過去にそのような局面に遭われた方の行動を見ていると、どうしても放置できない、不安でしかたない、連絡をしてしまった、支払ってしまった、というかたが少なからずいることが確認できています(検索をかけてみると結構出てきます)。

 

これは詐欺だ!と明確に言い切ることができる人もいれば、「ひょっとしたら」と疑問を持ち、不安になる人もいる。この違いはなんだろうと考えたときに、ふとあることが思い浮かびました。その仮説のようなものが、今後の対策や、普段の生活や意思決定に役立つかもしれません。

 

 

 

 

 

 

 

まずは、架空請求に関する考察を述べていきます。

 

 

過去の経験等も思い出しながら書いていきますが、ある日、自宅やケータイに直接「連絡」または「通知」が届いたときのことを想像します。

 

そのはがきを見て、またはメッセージに添えられた文章を読んでなんだかいずいというか、落ち着くことがなかなか難しい状態になったことがありました。

 

ひょっとしたら、これらの通知を受け取ったひとは、その落ち着かなさを早いとこ解消したくて「金銭による早期解決」を望んでいたのかもしれません。しかしそれは、相手側にとっては「思うツボ」。期待通りの動きをしてくれたに過ぎないことがわかります。

 

昨今ではこういった詐欺に遭わないようにと、実例を踏まえつつ、対策をアナウンスしています。それでも被害に遭う人がいるというのは、影響というのか、違うところにダメージがいっているからなのだなと思う方が自然だと思いました。

 

 

 

ここからはぼくが実際に感じた感情などを客観的に咀嚼・解析した内容になるのですが、

 

「じぶんの住所またはケータイ宛にはがきやメールなどの通知物が直接届いた」場合

 

まず、上記のような状況になった場合、少なからずひとは「動揺」します。

その「動揺」の理由は、「個人情報が特定されている」と感じてしまうことにあります。

個人の名前や連絡先は、自分とつながりのある人にしかわからない(教えていない)ため、自分あての通知物が来ると「ダイレクトに届けられた」と錯覚。心境としては「ロックオン」された状態に近いとも言えます。そのうえで「料金未払いがある」と言われては、落ち着いて考えることは難しくなるのも無理はないとも考えることができます。

 

これはひとことで言ってしまえば「不安を煽る」心理作戦そのものです。

人間の心理的作用をある程度理解しての行動になるので、計画的行動であることは言うまでもありません。そして「悪質」でもあることが言えます。

 

 

 

 

 

 

次に

「未払い料金等の支払い期限が迫っているため、至急の連絡を求める」文章があり、

 

加えて

「上記に対する対処行動がなければ、訴訟を起こす」旨の文章が入っている(しかも期限が間近な日にちに設定されている)。

 

 

 

この文章も「心理的不安」を煽るための文章です。

この文章の後に実際にある会社名を記載し、「専用の相談窓口」として連絡先の電話番号が記載されています。こうすることで「相手側の情報が確固たるもの」であるように見せつけ、受け手の不安を基に自身の土台を固めるといったような作用を起こします。

 

 

 

 

じぶん宛に送られてきており、しかも期限まで時間がない。

そのような不測の事態に、勝手に持ってこられたらどうでしょうか。

不安でしかたないと思います。

そのような状況を長く抱えていたくないことから、つい連絡をしてしまうのではないだろうか?とぼく個人は考えます。

 

 

 

以上、かんたんではありますが、受け取った時の状況を思い出しながら書いていきました。

ここからは、上記の状況に陥っても焦らず、客観的に対処するためのエッセンスを書いていきたいと思います。

 

 

 

 

ひとつめ

個人情報は「100%」把握されている訳ではない

 

ここを説明するためには、これまでの架空請求詐欺の歴史を紐解く必要があります。

まず、架空請求の「はしり」はがきでした。その宛先の情報はどこから手に入れたのかと言いますと、業者がその名簿を「買った」可能性が高いです。昔は個人情報の管理など今ほどではありませんでしたし、意識も低かったはず。身近な例を挙げると、過去会員登録していたレンタルビデオ店が大手の進出により閉店しましたが、その経営者が会員名簿を業者に売ったことから、犯行に使われたという経緯があります。そういった犯罪の温床があるということがわかってきたため、尚更個人情報の管理にはうるさいという背景があります。

 

 

 

しかし現在は「電話番号」または「メールアドレス」での通知が主です。

 

理由としては、個人的な見方としては「名簿が古くなった」から。

その他、大量に迷惑メールを送るシステムなどが構築されたことから、費用対効果がより高い方法を選択したのではないかと思っています。

かといって、はがきでの架空請求詐欺が「まったく無くなった」訳ではないので、ご注意を。

 

 

この時点で、相手側はこちら側に何かを通知することは可能です。

しかし裏を返せば「通知することしかできない」状況でもあります。

 

というのも、相手は

「住所や名前、電話番号やメールアドレス『しか』情報を持っていない」

可能性が凄く高いからです。

 

 

 

それに、相手は不特定多数の人に同様の手口で通知を続けているため、連続でそのような通知が届く可能性は限りなくゼロです。おそらく、膨大なリストや組み合わせがひとまわりするまでの間は、次のアクションやまったく違う会社からの通知はまず来ません。

そのため、こちらから連絡をしてしまうとほぼ100%でこちらの個人情報を聴いてきます。相手は本人確認と言いますが、実際は「その他の個人情報の収集」に他なりません。

 

 

 

ふたつめは

「料金未納の連絡と最後通告には段階がある」

です。

 

 

 

これは良く考えてみたら・・・というパターンですが、不安を煽られている以上、まともな判断は出来ない可能性があります。そのため以下の点を要点として抑えておくとこの段階でも冷静さを取り戻すことが出来るかもしれません。

 

 

まず、「料金未納があること自体、まずありえない」ということを念頭に置くことが必要です。※まれなケースもあり

 

昨今の架空請求詐欺の内容は、デジタルコンテンツの利用に焦点を当てています。ネット上ゲームや動画の有料サービスの利用があると通告し、未払い金が発生していると言ってきます。

 

ここで考えていただきたいのですが、これらのコンテンツを利用し、かつ有料サービスを利用する場合、事前に決済方法を登録するよう利用元から求められます。そのうえでのサービス利用になるので、ある日突然「未納料金がある」状態に陥ることはありません。

 

そして、仮に料金未納があった場合。これは会社によって対応は様々だと思いますが、確実に行われることは「郵便(書留などの記録が残る方法)」による通知を必ず行います。それでも相手とのコンタクトが取れない場合、訴訟などの段階に踏み切ります(かなりざっくりです)。

 

 

以上のことから

 

ショートメールやWebメールでの「最後通告」は本来の方法に則っていない

はがきによる通告は送付方法がそもそも異なるので何の効力も持たない

 

ということが指摘できます。

 

 

以上のことから、相手は受け手側を不安にさせる文言を連続して用い、相手側からのリアクションを淡々と待ち、リアクションがあった場合は個人情報をなるだけ引き出し、たとえ1回における回収金額は少額でも、以後継続して標的にしていくということが見て取ることができます。まさしく、ローリスク・ハイリターンであり、少ない労力で最大の成果を挙げようという、誰もが夢見る方法(中身は別として)での成り上がりを目指しているのです。

 

 

 

現状、このような手法や他の手法を用いた詐欺が横行し、被害も多く出ています。

警察やその他の団体も予防策を色々と講じていますが、それでも被害が発生し続けている現状を見ていくと、予防を講じなければならない一端は、当事者の「心理状況の把握」にあるようです。これはよく言われていることでもありますが、冷静に考えるのではなく、客観的に物事を見ていくことで、自然と落ち着きを取り戻し、状況の分析ができるというもの。これは意識をしてできるほど簡単なものではなく、ある程度の訓練が必要になると感じています。

 

 

 

 

肝心なのは

 

「こころで考える」こと。

 

 

ひとは危機的状況に陥った場合、思考が停止状態となり相手の言いなりになる、従順な

状態になることがしばしばあります。問題は思考が停止してしまう原因をしっかりと考え、把握し、理解すること。ニュース等で「そんなことがあった」といった知識では全く役に立ちません。それは「知識」ではあっても決して「智慧」にはなっておらず、じぶんのケースに当てはめて考えることが出来ていない状態です。一部の高齢のかたは多少なりとも面倒なことに対して「ああ、わたしわからない。もう全部やってよ」と最初から白旗を上げ、相手にすべて任せてしまう傾向が強いですが、これをやっていてはじぶんがいまどのような状態にいるか「すらも」わからないまま、気がついたら・・・という展開になっていてもおかしくはないと思います。

 

「自分を知ること」。これは年齢に限らず、どの年代でもやるべき大切なことのはず。

これを放棄して直観に頼り、ころころと方針を変えている様々な立場のひとは、意外にも自分のことを実はよくわかっていないかもしれませんよ。ましてや感情的になる人や、人から図星なことを言われても「そんなの言われなくてもわかってるんだよ!」と吐き捨てる人。ぼくが思うに、このようなことばを使う人は、結局「考えていない」だけです。かといって当てはまることを言われると不快感になる。しかし、わかっていても何もしない。それは結局「わかっていない」だけなのです。そのような人が何かしら立派な、筋の通ることを言ったとしても、そのことばに重みはないものだと、遠からずわかることになるでしょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結構長くなってしまいましたが、事の発端は自分のスマホにショートメールで件のメッセージが送信されてきたこと。

 

 

電話番号もメールアドレスも、相手側はたくさんの組み合わせを試したうえで、不特定多数の人間に送り付けています。ひょっとしたら、電話番号のほうが組み合わせ数は少ないかもしれません。だから「たまたまぼくのスマホにヒットした」と思うようにしていました。

 

しかし、胸騒ぎというか、ざわざわする内面がいることに気がつきました。他のことで忘れてしまうというのも手ではあるのですが、「どうしてこんな気持ちになっているのだろう」と内側を見てみることにしたのです。そうしてみたら、詐欺の被害に遭ってしまう人の傾向のようなものが、個人的視点ではありますがおぼろげながら見えてくるとともに、また一歩「自分を知る」ことにつながりました。

 

 

じぶんがそのときそのとき抱いている感情を「分析」することを試みることは、意外にも大切です。というのは、その感情をどのように解釈していいかわからないケースが出てくるからです。もしどういったことが原因で出てきた感情かをわからないままにしておくと、その感情の解釈を「間違える」可能性が出てきます。間違って解釈してしまうと、その解釈に基づいた行動等も、間違えてしまう可能性は凄く高いです。それはある意味「しょうがない」では済まされない話ですし、「運命」や「宿命」に置き換えるのも愚かです。わたしたちは自分自身について、わからないことなどごまんとあります。それくらいに捉えていた方がちょうどいいくらいかもしれません。それを知った振りでいて大けがをするよりは、たとえ難しくても自分を知る行為、内観等の方法をとっていろんな状況下のことを振り返るのは、決して無駄なことではないとぼくは信じています。

 

 

 

ぼくのもとに届いたショートメールは多少の下調べを済ませ、「架空請求詐欺」と断定しました。その後、情報提供しています。画像に記載の電話番号は伏せませんでしたが、現在はもう使用されていないかもしれません。少しでも未然に防ぐことが出来ればいいですが、社会側の予防体制だけではなく個人側における予防対策、決して宗教的修行ではないですが、思考の練習をしていく必要がると感じました。

 

 

ちなみに、よく「個人情報(登録情報)を削除するには手数料が必要」というカタチの架空請求詐欺がありますが、サービスの利用などで登録されている個人情報の削除に金銭は一切発生しません。

 

これはかつてわたしが通販会社に在籍していた時のはなしですが、商品を購入後まれに「今回登録した顧客情報を削除して欲しい」との要望を受けることがあります。理由はさまざまだとは思いますが、利用者側から見てみれば、それは一種の防衛策とも言えます。

 

上記申し出を受けた場合、以下のように案内していました(現在は変わっているかもしれません)。

 

・購入段階での顧客情報削除は不可(登録した情報を基に商品の配送を行うため)。

・商品到着後、いわゆるカスタマーサービスセンターへの連絡が必要。

・顧客情報(個人情報)削除に関しての説明あり(保証対象外となることやポイントなどが消滅すること)

 

 

かんたんにその場で「はいわかりました」とはならないのが現状です。

現在ではおそらく本人確認も発生すると思いますし、時間がかかる印象を持ちます。

これらの行為はすべてサービスを提供している団体の「付随業務」にあたるため、手数料は発生しません。もし発生する場合は、その料金の金額の内訳を確認した方がいいでしょう(利用したサービスの清算ということもありえるため)。

 

それ以上わからないことがあれば、公共の相談窓口に連絡されることをおすすめします。

 

 

ある日突然届いた1通のショートメールから始まった「内面への旅」

 

 

それは詐欺という犯罪行為に深く関係する心理作用をはじめ、自分自身にも影響を及ぼす感情の移り変わりの解釈・咀嚼を促し、実践させるきっかけとなりました。この方法がすべてとは言い切れませんが、少なくとも自分をしっかりと観察し、知っていくためには必要な手立てのひとつだと考えています。そしてそれはじぶんでじぶんの心を整えていくことに直結し、穏やかな生活の道しるべになるのだと考えます。