つたわりとどけ。

日常と非日常のはざまから、伝え、届けたいことを個人で探求し、実践します。このたび不定期更新に切り替えました。

令和5年5月の読書感想文⑧ リーマン、教祖に挑む 天祢涼(あまねりょう):著 双葉文庫

対宗教、という構図が珍しく感じましたので、読んでみました。

中々面白かったです。

 

リーマン、教祖に挑む 天祢涼(あまねりょう):著 双葉文庫 個人蔵

 

単行本の刊行はおよそ10年前、文庫化も5年以上前なので、現在の様相を反映していませんが、先見の明があるように感じた物語となっております。

 

設定がまた絶妙で、寂れた団地地域でその勢いをつける新宗教団体があるのですが、その団体が「葬儀」まで執り行うことから、地元の葬儀会社がその実態を掴み、手を引かせるというのが流れです。

 

これまで宗教ということになると、その信仰内容がクローズアップされてきましたが、今回はまさかの事業内容。葬式という事業が成り立たないから、新宗教の情報を集めて、その地域にふさわしいものかどうかを判断し、怪しければ排除にかかるというものでした。

 

ことの発端は既存の葬儀会社への会員解約の連絡が相次いだことによるもので、そこからマーケティングを始めていきます。相手の新宗教も代表が頭脳派であり、言葉は悪いですが新宗教を土台とした金儲けを画策していたため、対立していきます。具体的な行動というよりは情報戦といった印象ですが、現代のどこかの土地にでもあるような内容で感心するとともに、昨今ならばありえない話ではないと鳥肌が立ちました。