つたわりとどけ。

日常と非日常のはざまから、伝え、届けたいことを個人で探求し、実践します。このたび不定期更新に切り替えました。

令和5年6月の読書感想文③ 残照 田中芳樹:著 祥伝社

中国歴史小説を(も)書く田中芳樹の最新作が出ました。

 

この作家の中国小説は結構好きです。

 

 

残照 田中芳樹:著 祥伝社 個人蔵

 

 

モンゴルの時代にモンゴル軍を率いた漢人の武将がいた。

名前は「郭侃(かくかん)」。

 

ja.wikipedia.org

 

この武将を語っているのですが、参考文献には必ず「中華書局」の本が名を連ねます。

帯にもあるように、700以上の城を落とすというのは凄いことです。聞いたことないです。攻城戦と砲術に長けた武将ということが背景に挙げられるのですが、それでもその数の城をというのは、にわかに信じることが出来ません。

 

このように無双状態の武将でも、所属はモンゴル軍ということもあり(関係ないかもしれないが)、内部抗争の片鱗に触れる場面が出てきます。そういった「ヒリヒリ」した空気をも絶妙に書いて見せている作者に敬意を表したいと思います。

 

 

田中さんはこれまでにも中国の武将を扱った作品を書いておられます。

これを機会に中国の歴史に、そして、こんな武将がいたのか!という驚きにも、是非触れていただきたいと思います。