この作家の中国小説は結構好きです。
モンゴルの時代にモンゴル軍を率いた漢人の武将がいた。
名前は「郭侃(かくかん)」。
この武将を語っているのですが、参考文献には必ず「中華書局」の本が名を連ねます。
帯にもあるように、700以上の城を落とすというのは凄いことです。聞いたことないです。攻城戦と砲術に長けた武将ということが背景に挙げられるのですが、それでもその数の城をというのは、にわかに信じることが出来ません。
このように無双状態の武将でも、所属はモンゴル軍ということもあり(関係ないかもしれないが)、内部抗争の片鱗に触れる場面が出てきます。そういった「ヒリヒリ」した空気をも絶妙に書いて見せている作者に敬意を表したいと思います。
田中さんはこれまでにも中国の武将を扱った作品を書いておられます。
これを機会に中国の歴史に、そして、こんな武将がいたのか!という驚きにも、是非触れていただきたいと思います。