つたわりとどけ。

日常と非日常のはざまから、伝え、届けたいことを個人で探求し、実践します。このたび不定期更新に切り替えました。

信仰はマチの定着と発展に貢献していた。 ~鴨々川ノスタルジア~

去る土曜日に、「鴨々川ノスタルジア」の名所を巡るガイドツアーに参加してきました。

 

昨日の日記に書いたツアーとはまた違った趣向のものとなっており、ツアー名は「薄野寺町BOZUめぐりコース」。ざっくり説明しますと、宗派を超えたお寺巡りになっております。

 

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実は薄野(すすきの)、寺社が多いことに気がつきます。※以後すすきのと記載

しかも、敷地が広い。これから見ても、昔からその場所に構えていたことがわかります。

すすきのを訪れた際、そういった寺社があることに何ら疑問を抱きませんでしたが、前回の、そして今回のツアーに参加することで、少しずつその背景を垣間見ることが出来ました。

 

 

 

 

スタート地点は、市電の駅からもほど近い「東本願寺 札幌別院」。

ここから歴史の授業に突入します。

本願寺には、西本願寺東本願寺があります。さて、その「違い」とはどんなことでしょうか?という「そもそも」のところからガイドがはじまり、札幌に東本願寺が来るまでの経緯が語られます。その後寺院内の案内へと移り、建物や御堂内の説明に変わります。

 

 

 

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こういった流れですすきのにある寺社を廻ることになりますが、行程は以下のようになっています。

 

 

 

 

ガイドコース

 

東本願寺幌別院に集合し、ガイド開始

 

 

豊川稲荷

 

 

成田山 新栄寺

 

 

北縁山 新善光寺 にてガイド及び体験後、解散

 

 

 

 

廻る箇所は4か所ですが、そのどれもがすすきのの歴史にとって必要な場所であります。

 

その街の開発と言いますか、発展を語る際、入植者の話しやお国の政策などに注視しがちですが、重要な要素として「寺院の建立」がありました。当時のひとたちにとって、神社やお寺は「なくてはならない存在」だったのです。現代のわたしたちでいうところのスマホだと思っていただければ、その重要性がわかると思います。日本人は、信仰を身近に置いていたことがよくわかってきます。そして、それが生活にもとけ込んでいました。現在では宗教色や信仰は「怪しい」「古臭い」「ダサい」といった象徴となってしまいましたが、昔はそれらがごく「自然に」行われていました。生活の一部になっていたのです。それがいつしか「線引き」されるようになってから、あれれという感じになってしまったのではないか・・・と個人的には思っています。

 

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木魚の体験。大きな木魚でも体験させていただきました。

 

 

 

このツアーでは、それぞれの宗派の「信仰のカタチ」をつぶさに見ることができます。

 

しかも、間を置かずに違う宗派のお寺に訪問し、その違いを肌で感じ取ることが出来ますので、とても貴重です。教えの違いこそあるものの、詰る所は一緒です。目指す方向へ進むアプローチが異なるだけの話しなんだろうなと、歩きながら考えていました。

 

 

ちなみに宗派を書いていきますと

 

東本願寺・・・浄土真宗

豊川稲荷・・・曹洞宗

新栄寺・・・・真言宗

善光寺・・・浄土宗

 

と、なります。仮に他の宗派が加わりますと、結構なお時間になりますな。

 

 

 

 

そして今回、お寺を廻らせていただいた中で経験させていただいたことを列挙しますと

 

 

東本願寺・・・本堂見学と展示物の説明

成田山 新栄寺・・・八十八か所巡り 及び お護摩お焚き上げ

北縁山 新善光寺・・・木魚体験 仏像等の説明

 

 

となりました(状況によって内容は変わることも)。

 

お寺によってはツアー参加者にのみ、普段は見ることのできないものを見たりすることができます(許可を受けた範囲内だそうです)。こうして内部を歩くことで、さまざまな発見があります。お盆のときにはお寺へ墓参りに行くことがありますが、ちょっと視点を変えて思いました。

 

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 改築後も建立当時の建築様式を残していました。

 

 

 

そうそう、歩きながら話していたとき、「親から他のお寺(違う宗派)に行っちゃいけないと言われませんでしたか?」という話に。そこがまさしくツボだったので、尚更ですがこうして短時間で違う宗派のお寺を渡り歩くことに面白みを感じていました。昔は「鳥居はくぐるな」とか「他のお寺に行くなんて言語道断」、また結婚式も神社で行われるものに対しては参加は控えるといった風潮がありました(今はわかりません)。今思うと、不思議な風習ですね。きっと、他宗に乗り換えすることを怖れての事ではないかと思います。

 

 

 

この日は気温の割には暑さを感じる1日でしたが、存分に楽しむことが出来ました。

 

本来、お寺というのは現代でいうところの「憩いの場」であり、また「学びの場」でもありました。学校教育になぞらえれば、総合教育といった感じになるでしょうか。いまは社会に様々な施設があり、さまざまなことを学ぶことができますが、昔はお寺がその役割を果たしてきました。じゃあなんで閉鎖的に感じるようになったのか、その理由はわかりません。社会的な理由や、倫理的な理由が複雑に絡み、足が遠のいていったのではないかと見ています。

 

 

 

スタート地点である東本願寺に訪れた際、イベントで「お寺でキャンプ」というものが行われていたらしく、境内で元気に遊ぶこどもたちの姿も見ることが出来ました。お寺に幼稚園が併設されているところがありますが、昔から続く習慣のようなものなのかなぁと見ていました。

 

そして、何よりお寺には「古木」があります。

なかには「御神木」として祀られる存在もあります。

つまりは、建立時に植えられた木が「そのまま」在るということになります。

その樹を見ると、荘厳さを感じますね。

 

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お寺の歴史を紐解きますと、その土地の歴史に触れることになる。

わかっていたようで、実はわかっていなかった、もうひとつの物語を目の当たりにすることになった今回のツアー。仏像を拝見し、お寺のつくりや、それぞれの宗派の教え、そして歴史と背景。お腹いっぱいの内容でしたが、比較的歴史が浅いここ札幌でも、これだけの想いと願い、そして決意が詰まった足跡があったことは驚きでした。

 

 

 

 

 

 

今や札幌は欧米のような都会的で先進的な街になろうと躍起に見えます。

空き地や空家はどんどん新しい建物の建設現場に変わっています。

新しいものが創られるのは、時代としてはごくふつうのことだと思います。

反面、古い建物はその維持が困難と見られてしまうことから、運営が厳しくなってきます。

そういった理由などから、古い建物は消え、新しい建物が姿を現します。

 

 

 

しかしながら、古い建物に「安堵感」を憶えることがあります。それは何故なんだろう?と思うことがあります。ひょっとしたらDNAに刻まれた何かかもしれませんが、確証はありません。生活感の有無といったことではなさそうですし、いったい何が違うと言えばいいのでしょうか。懐かしさの中に含まれるものが、実は日本人にとってとても大切な感覚を含んでいると表現すれば、少しは伝わるのかもしれません。

 

 

 

古いものには古いものの、新しいものには新しいものの、それぞれの良さがあります。

それを良く知ることこそが、大切なのではないかと思っています。

 

 

 

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 岩に観音様が自然と浮き出たもの。

遠い本州から寄贈されたものとのこと。

 

 

 

善光寺さんでのガイドが終わり、アンケートを書いた後、なんとお土産をいただきました。

 

その紙袋もなんとお寺さんのデザイン!一気に現代にとんできました。

中身はと言いますと・・・これは参加したときのお楽しみということで。

なお、このツアーは10月まで行われているそうなので、札幌並びに北海道在住のかたも、札幌に旅行にいらっしゃる方も、機会がありましたら是非参加してみてくださいね。

 

 

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ツアー後。

 

あまりにも暑いので、ビアガーデンで補給 笑。

 

またこの日はすすきの祭のさ中でもありましたので、お神輿の準備風景に立ち会うことも出来ました。

 

 

 

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久々に週末の街中を楽しみました。

そしてお腹もいっぱいです 笑。

 

 

 

ガイドツアーは、その赴く場所や担当するガイドさんなど、様々な要素が加わることで面白みがぐっと増します。それは「この場所でのみ可能なこと」ではありません。札幌で言えば、他には大通公園周辺や藻岩山など、ガイド出来る場所は他にもあります。そして手段にも趣向を凝らせば、たとえ少人数のツアーであっても、人気を高めることが出来るのではないでしょうか。

 

 

 

 

学生のときとは違い、ガイドが語ることばにはたくさんの情報が詰まっていることがわかりました。地元であっても、実は知らなかったことはたくさんあるということもわかりました。そのすべてを知らなければならないということではありませんが、出来るだけ知っていくことで、今後のこの土地での生活に、いくばくか寄与できるのではないかと思った、ビールがとても美味しい1日でした。

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鴨々川ノスタルジアオフィシャルサイト:

www.kamokamogawa-nostalgia.net