【詩】手放すことができたら
あなたと一緒にいたのはどれくらいの時間だろうか
長く見れば2年間
厳密に言うと何十時間
それでも永遠と思えたのは何故だろうか
その手は大きく温かく
そして強く離さず
鎖以上の強固さを持った
絆以上の糸となって
慣れない時間を編み込んでいった
ただ変化には鈍感で
涙しながらも距離がどんどん出来ていく
ついにはその言動が信じられなくなる
その時にはじめて 知らなかったあなたを知る
頑固にもわたしは手放さないと誓って生きてきた
それは苦痛の誓いであった
その人はもう別の土地で
違う人と一緒にいる時間を日々更新している
わたしとの時間など
とっくに上書きされている
上書きとともに
蔑みの視線が飛んできた
当たり前だといった姿勢で
お互いの都合といった情勢で
あのとき
あなたはわたしとつないでいる手を放したのかと聞かれた
わたしはあなたがその手を放したのだと言った
このやりとりはもう
自分の都合でしか言い合っていないことをお互いが
もし
ここに固執するものを手放すことが出来たのなら
もう少し
ぼくは前を向くことが出来るだろうか
その人のことを想うことはあるだろうけれど
故人を想うかの如く過ごしていき
その背中に寂しさを纏わず
却ってその人が二度見をするような
その人が少しでも滲ませるような
それを気づかずに生きる
そんな風になれたら