つたわりとどけ。

日常と非日常のはざまから、伝え、届けたいことを個人で探求し、実践します。このたび不定期更新に切り替えました。

【詩】火傷をしてしまうのは粗熱のせいで

火をかけて調理をする

 

 

 

 

自慢の鍋で

 

お気に入りのフライパンで

 

モーニングコーヒーを淹れるためのケトルで

 

 

 

 

 

ほんとうは熱々を口に放り込みたいけれど

 

口の中が火傷をして仕方ない

 

本当はその美味しさを味わいたいはずなのに

 

知らずに自分の内側を傷つけている

 

 

 

衝動に駆られる

 

それはもう自身の熱が最高潮のときで

 

相手を傷つけるには十分な熱さになっていて

 

相手が傷つくさまを上機嫌で眺めているけれど

 

粗熱が取れたときにやっと気づく

 

熱さというのはとても怖いものだと

 

 

 

誰もがキレる世界になってきた

 

この地上は鉄鍋に油を注がれとことん熱せられて

 

どんどん逃げ場を失っていく

 

 

相手を追い詰めるのが使命だと思っていた人は

 

いつしか自分が四面楚歌だと気づく

 

 

 

 

粗熱はそうかんたんには取れない

 

あれだけ飛び込むことをはやし立てていたはずなのに

 

いざ自分がと思うと足が竦む

 

 

 

 

その熱はどうやら

 

冷静さを奪う悪魔であることを知る

 

目の前の人がほんとうにいなくなって気づく

 

それは今手元にある幸せなどでは拭えないくらいに