ヴルストはドイツ語でソーセージを意味します。このヴルストづくりに精を出すよくわからないおっさんと、高卒認定試験の合格を目指す半端もんの物語。
ヴルスト!ヴルスト!ヴルスト! 原宏一:著 光文社文庫 個人蔵
いや、面白いじゃないか。
読後の感想です。
主題はヴルスト作りと受験勉強になるのですが、それぞれが抱えている事情が見え隠れするとともに、周りを見ないで突っ走る人間が、周りからは「危うい」と思われがちなのだという描写も秀逸です。
ソーセージについて知識があるわけではありませんが、作中では「ソーセージとは」という基本も説明されているので、ちょっと勉強になるとともに、展開につられて「本場ドイツのヴルストも食べたいなぁ」と確実になります。当方は道南の八雲町に住んでいますが、函館市に「カール・レイモン」というお店があります。そこでソーセージをほおばるのもいいなぁと考えていました。
もの(今回は食べ物)づくりは、とても奥が深いです。
それは勉強も、そして人生も同様です。
これは世代を超えた青春小説と感じました。
自分は何に青春を見出そうかと思ってしまいますが、今ある環境で、無理して手足を伸ばさない範囲で、青春の対象を見つけてみようかなとも思いました。