移住に光を。
日本農業新聞11月18日の1面に「37万件移住相談最多」との見出しが載りました。
41都道府県で増えているということを明らかにしたもので、背景のひとつにはテレワークの普及があるようです。
移住に求めるもの
総務省がこの中身を調査しており、その都道府県に寄せられた相談件数をまとめたもののようです。上位を見ると1位から長野県、兵庫県、福島県、北海道、静岡県と続きます。トップ10を見てみると、東京に近い場所では長野県と静岡県、福島県があり、大阪に近い場所では兵庫県があり、その他はある程度ばらついています。
移住に関わる催しや相談ブースを設け続けてきたことで、「これまでと違う場所に住む」というのがイメージできる世の中になってきたと思うのですが、現代ではそれに仕事もくっついてくるようになりました。農業や林業、そして新産業など、その場所ではこのような仕事がありますということをアピールすることで、移り住んだはよいものの仕事がない、という状況を防ごうというものです。身ひとつで移り住んでも仕事が無ければ離れるしかありません。また、住環境や周辺の環境も興味事のひとつになっていて、地域住民との交流も大事な要素のひとつになっています。
移住に求めるものの大きな要素としては、自然がある程度あるというものに特化するのではないかと感じています。コンクリートジャングルとも呼ばれた都会は、どこか殺伐としています。しかし時間帯が変われば煌びやかさを見せる魔法の場所です。そこに同調する部分はあるものの、考えることは「継続して生活するには」という切実なものだと思います。どちらが性に合っているか等の条件もありますので一概には言えませんが、自然を想う機会がその人たちに増えてきているから、移住という選択肢をとろうとする行動が増えているのではと考えています。
以前の移住は「今生の別れ」
これほど文明・文化が発達する前までは、違う土地に移り住むことは「今生の別れ」とされてきました。開拓期なんかは特にそうで、違う土地で生きていくことは相応のことだとされてきた背景があります。現在は交通網も充実し、短時間での移動が可能になりましたが、元いた土地に一時的にでも戻るのはやはり手間がかかります。
連絡手段は幾つも確率しました。しかしながら故郷とのつながりは希薄なままというのが印象です。新しい土地での毎日の生活に誰もが必死なのだと考えると、仕方のないことなのかもしれません。
北海道内ではあるものの、移住を経験した身としては、「大事な局面には立ち会えない」可能性を覚悟しています。それは親子としてのことなのですが、何よりもまず考えなくてはならないのは、自身の生活です。そこが確立してこそ、遠く離れた親などの存在を安心させることが出来ます。そういったことが親孝行につながるのだと考えると、その親の子に恥じない人生を送りたいということの一端に、移住という選択肢はあるのかもしれません。
現在はテレワークもあるため、転職をせずに移住という方法もとることが出来るようになってきましたが、いずれにしろ、移住という手段がその人や家庭をより活かすことにつながってくれればと感じました。