本気さを感じた話。
自宅の中の細かいところを整理(主に紙類です)していたところ、前の仕事で留萌市に出張していた際にもらってきたフリーペーパーが出てきました。この冊子は留萌市だけではなく、周辺地域の情報も網羅したクォリティの高いものとなっています。今回はこの冊子を少し紐解きつつ、地方のことについて考えてみたいと思います。
冊子の表紙を見てみますと、「広域周遊ルートガイド」とあります。
また、ガイドについては「8つのテーマと25のルートで描く、るもい地域」との注釈があります。
この冊子で指します「るもい地域」ですが、天塩町(てしお)、遠別町(えんべつ)、初山別村(しょさんべつ)、羽幌町(はぼろ)、苫前町(とままえ)、小平町(おびら)、増毛町(ましけ)、そして留萌市(るもい)となっています。ちなみに天売島(てうりとう)と焼尻島(やぎしりとう)は、羽幌町に属します。この縦の路線を見ても、広域だということがわかります。この冊子はこれらの地域の情報を網羅したものとなっています。
ガイドブックと言いますと、内容としては「食事処」「宿泊」「観光」をベースとした内容を掲載することが多いと思います。ここで違いが出てくるのが「見せ方」になると思います。ここについては知恵を絞るところなのですが、今回の冊子については「集約」という意図がはっきりわかるくらいの情報のまとめかたをされていらっしゃいました。
ざっくり言いますと、一枚の地図にいちジャンルの情報を項目化したもの(数字やアルファベット)をまとめて掲載しているというもの。また色分けもしてあるので、目的の情報とともに周辺情報との導線をつなぐ負担を減らしているように感じます。ページの一部を色付けしているため、辞書を引くように利用することもできますので、端から端まで探しなおすということもないです。改善の余地はあるんだろうなぁと思いつつも、完成度の高さに驚きました。正直これが「フリーペーパー」なのが驚きです。
個人的に感動したといいますか、秀逸さを感じましたのが、「おろろんマップ」と題した周辺地域の地図。それがイラストで描かれているところです。それがなんともかわいらしく、また微笑ましいのです。なんべん見ても、飽きることがない不思議さを感じます。
当時は出張時の読み物として利用していましたが、立場が変わって「地域をどーにかする」ことを考えたとき、この冊子はとてもいい教科書になるのではと考えました。
今回参照としたのは観光向けの冊子ではあります。観光を言い換えれば「非日常」になります。考えてみますと、普段そこに住んでいる人のところに、他の地域から来た人が「非日常」を求めてやってくるのです。不思議なことこの上ないのですが、そうやって見ていきますと、「日常」と「非日常」は、背中合わせのようなものなんだろうなというのが見えてきました。欲張りな考えではありますが、観光向けのものができれば、それは少し手を加えるだけで日常向けのものもこしらえることが可能ということです。おそらくそのようなイメージでこれまでも作成がされてきたのだと思いますが、実際にニーズに合ったものかどうかは、不透明なところがあります。そこの距離感を少しでも縮めることができれば、成果としては極上のものになるのではないかと考えました。
ぼくが移住してきた道南・八雲町も歴史を携えたマチです。アピールできるところはほかの地域同様にあります。それをただ並べ立てるのではなく、刺激を与えられるものを今後作っていくことができればいいなぁと考えていました。
「なにもない」は「なにかが眠っている」の反対語。
そう思いながら、このマチの未来図を描いていきたいと思いました。